グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

米国債の利回りはいつ大幅上昇する?

 このところ議論が続いていた、米国の所得税に関するいわゆる「ブッシュ減税」を延長するかどうかという議論は、オバマ大統領が共和党に折れて富裕層に対するものを含めて減税策を2年延長することで決着しました。

 当初は、勇ましく「金持ちの減税は続けない」と言い張っていたオバマ大統領が例によっていとも簡単に折れてしまったわけです。稀にみる演説の雄弁さを持って正しい主張をするにもかかわらず、いざ実行に移す時は「悩めるハムレット」になってしまう大統領の姿は、もう見慣れたものですね。

 本来は、財政立て直しをしなければならないのにもかかわらず、気前のよい減税を続けることを決めてしまったことで、米国の長期債金利は上昇して10年債の利回りは3.2%台に乗せました。

 10年債の利回りは、つい最近までは2%半ばをうろうろしていたわけですから、このところ利回りは随分上昇したとも言えますが、歴史的に見れば、3%そこそこの利回りは著しく低い水準です。

 実は、昨年の暮れに同僚3人で今年の年末のいくつかの相場水準あてのゲームをしました。対象の相場は、日経平均とドル円の為替相場、それから米国10年債の利回りです。

 日経平均とドル円相場については、現在の値は3人の予想値の範囲内に収まっていますが、米国債の利回りだけは皆大外れで、一番低い利回りの予想でも4.8%でした。年末まであと数週間残っていますがさすがにここまで急上昇する可能性は低そうです。

 3人は、それぞれ投資家やトレーダーを20年近く務めたキャリアがあったり、あるいは現役のファンド・マネージャーだったりですが、米国債利回り予想については見事に大外れでした。

 昨年末の利回りは3.8%前後だったので、財政悪化が続く状況下、ここまで利回りが低下するとは思わなかったわけですが、特に8月にバーナンキ議長が打ち出し11月に実行したQE2(量的緩和第二弾)が想定外でした。

 バーナンキ議長は数日前にFRBによる更なる長期債の買い増し否定した上で、「FRBが適切な措置を取っていなかったら、失業率が25%程度になっていた可能性がある」とまで述べて、正直あまりに強烈な自己正当化に唖然とさせられました。ここまで来るとほとんど独善に近いかもしれません。

 グリーンスパン前議長は自由市場と人間のモラルに対しては余りに楽観的な考えをもっていたために失敗しましたが、自分たちの行動に対しては極めて慎重かつ、並はずれた洞察力を持っていたような気がします。

 米国債の利回りはバーナンキ議長の行動によって、実力以上に低い水準に留まっているのですが、このようなやり方は往々にして長期的には全く逆の効果をもたらすものです。

 さて、財政規律の必要性は十分に理解しているように見えるが、全く実行力の伴わないオバマ大統領と、学者肌で自己の学説への過大評価と現実世界の洞察力のなさを併せ持つバーナンキ議長というコンビは、実は長期的な視点では米国債市場に全く優しくない組み合わせなのかもしれません。

 昨年の相場予想を大きく外した負け惜しみのようではありますが、来年か再来年あたりには、米国債の利回り上昇が大きな話題になりそうな気がします。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。