グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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明らかになりつつあるリーマン破綻の経緯

 先日公表された、リーマン破綻に関する調査報告書の内容が次第に波紋を広
げています。

 これは米国の連邦裁判所からの依頼を受けて、アントン・パルカス氏がまと
めたレポートですが、なにしろ2200ページもの分量があるので、詳しい内容が
伝わってくるのに少し時間がかかっているようです。

 このレポートが11日に発表されて以来、英FT紙は連日のようにこの関連の
報道をしています。そして残念ながら、その内容は詳しく読めば読むほど「醜
さ」が増していくようです。

 パンカス・レポートでは、リーマンが社内で「レポ105」と呼んでいた簿外取
引を通じて500億ドル(約4.5兆円)もの資産を隠していると指摘しています。

 レポとは、債券を担保に短期の資金調達を行う取引のことです。この取引を
正しく会計処理すれば「担保付の借り入れ」のはずなのですが、どうやらリー
マンはこれを「売却」であるかのように見せ掛けていたようです。

 「レポ105」を通じて、バランスシートを実際より健全であると見せかけるこ
とによって格付会社からの格下げを回避していました。

 FT紙によれば、このような怪しい会計処理にリーガル・オピニオンを与えて
くれる法律事務所は米国には見当たらず、英国のリンクレイターズを使ったそ
うです。そして英国の大手監査法人アーネスト・ヤングがこの処理を容認しま
した。

 これは米国と英国の会計ルールが多少異なることを利用したものですが、こ
のように、自分に都合のよい意見が得られるまで外部の意見を求めたり、自分
の都合のよい場所で訴訟を起こすことをフォーラム・ショッピングと呼ぶのだ
そうです。

 これが完全に違法な行為と断定できるかどうかはまだ分からないようですが、
少なくとも、法の抜け穴を狙った悪質な脱法行為であることは間違いありませ
ん。

 2001年に複雑なストラクチャーで粉飾を重ねたエンロンが破綻したことで米
国ではSOX法(Sarbanes-Oxley Act)が制定され、経営者に財務諸表の正確性
について個人保証させるような対応をしました。

 SOX法対応には、日本企業も含めて関係者の膨大なお金とエネルギーが消費さ
れましたが、リーマンの実態を見る限り、どうやらそれは弁護士やコンサルタ
ント達の懐を潤しただけに過ぎなかったようです。

 エンロンの会計監査をしたアンダーセンは解体されましたが、今回のアーネ
スト・ヤングも、厳しい批判にさらされそうです。

 さらに一昨日のNYタイムズの報道では、このレポートによってリーマンを監
督する立場にあった当時ガイトナー総裁率いるNY地区連銀やSECがリーマン破
綻の遥かに以前からリーマン監督の為のスタッフを常駐させていて、このよう
な会計操作を容易に把握できる状態であったことが明らかになったと伝えてい
ます。

 マードフ・ファンドの事件と同様に、当局は賢明に「見て見ぬ振り」をした
のでしょうか?もしかすると「粉飾」のアドバイスをしていたかも知れません。

 そうであるとすれば、リーマンの経営者達より遥かに罪が重いように思えま
す。

 ガイトナー氏のウォール街への献身ぶりは、いまさらながら驚き呆れますが、
こんな人物をいまだに財務長官を務めさせているオバマ大統領もどうかしてい
ます。

 先週、「粉飾」の疑いが報道された時にはリーマンは「第二のエンロン」かと
思いましたが、監督当局が「粉飾」を手厚くほう助したとすれば、これはもっ
とひどい話かもしれません。

 不正が起きないようにどんなにルールを厳しく設定しても、人間の心が「腐
って」いれば何の役にも立たないようです。
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