グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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FRBに対する歴史の逆風

今月初めにバーナンキ議長が決行したQE2(量的緩和第二弾)は、BRICs諸国
のみならず、米国内からも大きな批判を浴び、批判の声はさらに世界中に拡大
する様相を見せています。

 また、それとは別のところでもFRBにとって歴史的な事態が起ころうとして
います。長年FRBを攻撃し続けて来た、いわばFRBの天敵とも言える、テキサ
ス州選出のロン・ポール下院議員が、先般の中間選挙で共和党が圧勝したこと
によって下院の銀行委員会の小委員会委員長に就任する観測が高まってきて
いるのです。

 ポール議員は、FRBは1913年に設立されて以来、ドルの価値を暴落させて、
米国庶民の利益を破壊して来たと、長年繰り返しアピールし続けています。

 FRBが設立されたことで、金など実物資産の裏付けをもたない、ペーパー・マ
ネーを印刷することが可能になり、マネーサプライを増加させ、インフレを引
き起こし、実質的に政府の借金を返済してきたというのがその主張の趣旨です。
 
 米国が70年代のニクソン・ショックで金本位制からの完全な脱却を強いられ
たのも、FRBがドル紙幣を刷り過ぎたためであるというのです。

 ポール議員の主張は一見かなりエキセントリックに見えることもありますが、
一方で、非常に鋭く本質を突いている部分があります。

 英FT紙は、先日のQE2政策発表の後、バーナンキ議長をはじめとするFRBの
高官達は、100年前にFRB設立の密談が行われたジョージア州のジキル島を訪れ
るという「最も奇妙で、最も秘密に満ちた米国金融史の探訪」(strangest, most
secret expedition in the history of American finance)に出かけたと報道
しています。

 詳しい説明は省きますが、FRB設立の青写真は100年前にジキル島に「カモ猟」
を装って集まった一握りの大富豪の銀行資本家と政治家が秘密裏にまとめあげ
たものなのです。

 第二次世界大戦前の世界は、いろいろな意味で、現在とは道徳観が全く異な
る状況だったのでしょう。FRBも決して米国民全体の為の銀行というものではな
く、一部の特権的な銀行家達の利益を代弁する機関として始まったとしても、
全く不思議はありません。

 ただし、問題なのは、そのような体質が21世紀の現在まで、水面下では色濃
く残されている可能性があることです。リーマン・ショック後に行われたFRB
によるウォール街への「お手盛り」の救済策はFRB設立時の暗部を再び思い出
させるものでした。

 ジキル島での秘密に満ちた歴史については、長年多くを語られることはなか
ったのですが、リーマン・ショック以降は大分風向きが変わってきているよう
です。

 今回、バーナンキ議長達が、歴史的にも大胆で直接的なドル紙幣印刷策であ
るQE2を決定した直後に、ジキル島に100周年の祝いとして訪れるタイミング
になったことは、本人達も歴史の巡り合わせを強く意識したことでしょう。

 勝手な想像ですが、議長としてはFRBの聖地を訪れて「お祓い」をしたい気
持ちがあったのかもしれません。しかし、ロン・ポール議員が銀行委員長にな
ってFRBを監査する立場になるとすれば、逆に長年封印されてきた歴史を解い
てしまったことになるかも知れません。

 ポール議員のこれまでの主張を考えれば、バーンナンキ議長のQE2政策は、
ほとんど考えうる最悪の政策に見えるのでしょう。

 先週ポール議員は「FRBの秘密を暴く必要がある」とか「バーナンキ議長は最
悪の悪夢」(worst nightmare)といったコメントを発しています。

 ジキル島での密約から100年を迎えたFRBの新しい世紀は、大きな変革が迫
られる世紀になるのかも知れません。
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