グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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失われつつあるユーロの信頼

 ユーロ安が止まりません。

 このユーロ安の傾向には、もちろん短期的なポジション操作による混乱や、
短期的な投機なども原因の一部であるかもしれませんが、最大の要因は5月10
日に発表されたEU-IMFの7500億ユーロの支援策と、欧州中銀(ECB)による
国債買取り策にあります。

 特にECBの行動は、通貨ユーロの信認を失墜させるのに十分な、ある意味シ
ョッキングな出来事でした。

 これまでECBはインフレの抑制にパラノイア的とも言える情熱を注ぎ、結果
として長期的な通貨の価値も守ってきたドイツ連銀(ブンデス・バンク)の文
化を色濃く受け継いできたと思われていました。

 ブンデス・バンクの伝統からは、中央銀行が紙幣を刷ってデフォルトするか
も知れない欧州周辺国の国債を買うなど考えられない事でした。それは通貨の
信認を失い、通貨価値の下落(つまりインフレ)を招く恐れがあるからです。

 リーマン・ショック後に英国中銀とFRBが国債購入に手を染めた後も、ECBは
その行動を回避してきました。

 しかし、5月の2回目の週末にはサルコジ仏大統領の強硬な要請に屈服して、
瞬く間に国債買取を飲まされてしまいました。

 その瞬間に、ユーロはドイツの拡張版であるという幻想が崩れ去ったのかも
知れません。

 政治家とすれば、自分たちが判断を躊躇している為に「第2のリーマン・シ
ョック」を起こしたと後世に語り継がれることを、何としても回避したかった
のでしょう。

 確かにあの時の株式市場のパニックは、そのリスクが目の前に迫っていると
感じさせるものでした。

 しかしながら、今回のEU首脳やECBの決断は短期的な株式市場の混乱を回避
したのかも知れませんが、長期的な通貨ユーロとECBへのダメージは測り知れ
ないかも知れません。

 歴史にもしは禁物ですが、もし2年前に米当局がリーマンを保護しリーマン・
ショックがなかったとすれば、おそらくあの時の世界経済の混乱はずっと小さ
なもので済んだかも知れません。

 しかし一方で、金融業界の抱える構造的な問題はそのまま放置され、今頃も
っと激しい混乱が起こっていた可能性もあります。
 
 EU首脳とECBはやや拙速に、これまでの自分たちの信条を放棄して「現実的
な対応」をしたわけですが、その結果が吉と出るか凶とでるのか?

 もしかすると、意外に早く結論が出るのかも知れません。
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