グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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米金融改革法案が上院通過

 この週末、米金融改革法案が上院を通過しました。

 昨年12月には下院で別の改革案が通過しており、あとは上院と下院の協議で
内容を調整し、それが上手くいけばオバマ大統領のサインというステップにな
ります。

 実際に大統領のサインがされるまでは、まだどうなるか不確定なのですが、
この法案は、デリバティブ取引を従来の相対取引から清算機関や取引所を経由
させることや、プロップ取引(自己勘定取引)の制限、また「大きすぎて潰せ
ない」問題への対処などさまざまな項目を含みます。

 プロップ取引の制限がボルカー・ルールと呼ばれるものです。

 いろいろな規制を盛り込んでいるのですが、誤解を恐れずに一番大事なコン
セプトを一言でいうと、「銀行は本業に帰れ」ということでしょう。

 本業とは経済の血液として、産業界(メイン・ストリート)に資金を循環さ
せることです。

 その機能の必要性については、ほとんど誰も異議を唱えないでしょう。

 しかし、リーマン・ショック後に欧米の多くの巨大銀行が連鎖倒産直前まで
行ったのは、クレジット・デリバティブなどを使って、伝統的な銀行業とはか
け離れた形で大きなリスクを取り、レバレッジを大きく拡大させていたからで
す。

 さらに悪いことに、デリバティブ取引はテーラー・メード的な商品が簡単に
作れる一方で、複雑化し、ポジションの透明性が著しく低下します。

 デリバティブを使えば、脱法商品でさえ簡単に作れてしまうのです。

 その結果、大手金融機関のトップでさえ、自分の会社がどのようなリスクを
取っているか、十分には把握出来ない状態なのです。

 トップが理解できない理由の半分は、トップの能力の問題ですが、残りの半
分はポジションが複雑すぎることにあります。

 そういった問題に対処する為に、金融改革法案ではデリバティブ取引につい
て、シンプルで透明性の高い取引所経由の定型化した取引に押し込めるなどし
て、本業以外のリスク・テイクを抑制しようとしているのです。

 こうして見ると、米国の金融改革は大きく前進したように見えますが、まだ
まだ油断してはいけません。

 金融改革法案は上院、下院のどちらも1000ページを超える膨大な分量であり、
この中に法案の表向きの主張を骨抜きにするような条項が入っているかどうか
は、簡単には判断が難しいからです。

 過去数十年の金融に関する規制は、BISの規制も含めて、ほとんど骨抜きであ
ったか、ひどい場合には逆に別のリスクを拡大させました。

 これだけ、膨大な法案であれば、その隅々まで理解する専門能力と忍耐力を
議員に期待することは難しいでしょう。

 ということで、今回米議会は表明的には画期的な仕事をしたように見えて、
それ自体は歓迎すべきことですが、その仕事の真価を評価をするにはこの先何
年も必要になりそうです。
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