グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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スペインとポルトガルの問題

 5月のギリシャの財政危機拡大以降、欧州の問題国として注目が集まっている
のは、ワールドカップで見事に優勝を果たしたスペインと、その隣国のポルト
ガルです。

 先週、格付け会社ムーディーズはポルトガルの格付けを2段階引き下げて「A1」
としました。

 このイベリア半島の両国の財政問題は、「ギリシャの次はどこだ」という議論
が始まると、必ずといってよいほど登場するのですが、実は公的債務の水準自
体はそれほど高いわけではありません。

 これは昨年末時点の推計値ですが、GDPに対する公的債務の水準は、ギリシャ
113%に対して、スペインは53%、ポルトガルは77%に過ぎません。日本の同じ数
字が200%近いわけですから、全く比較になりません。

 他のユーロ圏諸国でも、イタリアは115%もの債務があるわけですから、スペ
インやポルトガルの国民はどうして自分達ばかりが攻撃されるのか、と反発し
たくもなるでしょう。

 では、スペインとポルトガル経済のどこが問題なのでしょうか。

 その一つは、目先の財政赤字の水準で、スペインの昨年の赤字は11%を超えて
いて、ポルトガルも10%近い水準でした。これに対してイタリアの同じ数字は
5%程度です。

 このような事情もあって、最近、両国政府は国民の反発を覚悟の上で厳しい
歳出削減策を実施しているのです。

 もうひとつのスペイン経済の弱みは、高い失業率で、3年前は8%台だった失
業率は、今や20%近くにまで接近しています。ポルトガルの失業率も10%を突破
し、さらに悪化する勢いです。

 さらに、スペインでは、住宅バブルに加担した地域金融機関などに対する懸
念が高まっています。 

 このように、スペインやポルトガル経済には、確かに、さまざまな問題を抱
えているのですが、実は、現在何よりも問題なのは、ユーロ圏諸国の国債持合
いの構図です。

 通貨ユーロが導入された後、欧州の金融機関や投資家は、為替リスクが無く
なったことを背景に、ユーロ圏各国の国債に対する投資を積み上げて来ました。
 
 現在のスペインやポルトガル問題の本質は、これらの国々の国債を大量に抱
える欧州の金融機関の安定性が揺らいでいるという問題であり、もしスペイン
などに危機が起きれば、欧州の金融システム全体が大きく揺らいでしまうと言
う心配が高まっているのです。
 
 そういう事情があって、スペインやポルトガルにはこれ以上、大量の国債を
発行しなくても、経済がまわるようにしろというプレッシャーがかかっている
わけです。

 欧州のソブリン危機は、確かに債券の発行体であるソブリンの問題であるこ
とは間違いないのですが、それ以上に、買い手の金融機関や投資家の問題であ
ると言った方が良さそうです。
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