グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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懸念が残る欧州の銀行

 欧州諸国の信用不安は、初夏にはスペインやポルトガルに対してまで懸念が
高まる局面もありましたが、最近はギリシャなど一部の国を除いて、やや落ち
着きを見せる方向に動いています。

 しかしながら、欧州の信用不安の「核」となっている、金融機関への不安は
まだまだ払拭されたとは言い難い状況のようです。

 先日のWSJ紙は欧州の金融機関が、7月下旬に実施されたストレステストにお
いて、保有するソブリン債を過小に申告し、一部の銀行ではその規模が数十億
ユーロにのぼると報じています。

 欧州の金融機関は10年前の単一通貨導入に前後して、為替リスクがなくなっ
た(と思われた)ことで、ユーロ圏各国の国債の保有を急速に増やしました。

 ギリシャが、最近まで放漫な財政支出を続けることが出来たのは、ユーロ圏
の銀行がギリシャの国債をドイツ国債とほとんど変わらない低い利回りで、ど
んどん買い続けてくれたからです。

 欧州の金融機関の安易な国債保有は、ギリシャ国債に限らず、スペイン、ポ
ルトガル、アイルランド、イタリアなど各国の国債に及んだために、欧州のソ
ブリン・リスクは金融システムのリスクとして、欧州全体に波及する恐れがあ
ります。

 逆に言うと、金融機関がそれだけ巨額のエクスポージャーを抱えているから
こそ、市場においてスペインなどに対する懸念が、国債価格下落という形で増
幅され易くなっているのです。

 懸念が残る欧州の金融機関ですが、懸念の大きさは国によってまちまちで、
先日のFT紙では、金融機関が「生きている」(フランス、イタリア)、「死にか
けている」(ドイツの州立銀行、スペインの貯蓄銀行、ギリシャ)、「既に死んで
いる」(アイルランド)という色分けをしていました。

 ただし一番悪いアイルランドでは、危機直後から国有化の方策を打ち出し、
既に銀行問題に対処済みであり、スペインも貯蓄銀行の統廃合に向けて動き出
しています。

 FT紙は最も大きな問題が残ったままなのは実はドイツであり、ドイツの銀行
は資本の量と質の両方を改善させる必要があるという格付け機関フィッチのコ
メントを紹介しています。

 そして、こうした背景があるためか、ドイツは現在BIS(国際決済銀行)が中
心となり、来週にも取りまとめ案の発表が予定される「バーゼル3」の規制強
化に最も強硬に反対していると指摘しています。

 製造業の世界においては、その底力を世界に見せつけているドイツですが、
(日本と同様に)金融業は本質的に適性に欠ける部分があるのかもしれません。
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