グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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振興銀行問題で解明すべき点

 振興銀行の突然の破綻については、(一部を除いて)どのメディアでも、初め
てペイオフが実施されことに関する説明や、預金者のインタビューで溢れてい
ました。それはそれで大事なことかもしれませんが、この事件に関して、他に
も報道すべき重大な事が沢山あります。

 その一つは「なぜ、振興銀行が突然巨額の債務超過になったのか?」、あるい
は「なぜ巨額の債務超過が今まで隠され続けて来たのか?」という本質的な疑
問です。

 報道によると、金融庁は昨年6月から今年3月までの約9カ月にも及ぶ異例
の検査を行ったとされています。その検査を経て今年5月に発表された2010年
3月期の決算では、計上された赤字はたったの51億円で、振興銀行が保有する
4,235億円の債権中、3,980億円が「正常債権」に分類されています。
 
 ところが状況が一変して、振興銀行が破綻に至ったのは、9月10日の金融庁
の発表によれば「その財産をもって債務を完済することができない状況にある」
という預金保険法に基づいた申し出があって処分されたからです。

 同じ日、金融庁は「金融担当大臣談話」として「近年、貸金業者からの債権
買取を増加させるとともに、親密な大口与信先に対する急激な業容拡大を図る
という特異なビジネスモデルの下で、それに見合った十分な与信審査管理を行
わなかった結果、多額の追加引当金が必要となったものである」と説明し、6月
末には1,870億円の債務超過であることを明らかにしました。

 振興銀行の3月末決算では、資本金など純資産が274億円ありましたから、
たったの3カ月で、保有債権の約半分である2,141億円もの引当金を積んだこ
とになります。実体的には3月末に「正常債権」と分類されていた債権のほと
んどが、突然「破綻先または実質破綻先」などに分類されたということなので
しょう。

 担当大臣談話等や一部の報道から推察すると、「親密な大口与信先」を活用し
た取引などを、5月に解任された木村前会長のあとを引き継いだ新しい経営陣が
(内部の特別調査委員会を通じて)、これまでの判断を突然覆して、不良債権で
あると認めたと考えられます。

 14日、自見金融担当大臣は、振興銀行の2010年3月決算は「粉飾に近い」と
発言、今後は預金保険機構が木村前会長など前経営陣の責任を刑事・民事で追
及していくだろうと、コメントしています。

 もし、今回巨額の引当金を積んだ債権の資産分類方法が正当なものであれば、
「粉飾に近い」どころの話ではなく、世にも醜い「飛ばし」行為です。ごく一
部のメディアは、振興銀行が「中小企業振興ネットワーク」という多数の「親
密な大口与信先」を使って巧みに「飛ばし」を行ってきたと伝えています。

 そうだとすると疑問なのは、金融庁が異例の長期の検査にもかかわらず、な
ぜこのような不正を解明し、2010年3月期の「粉飾決算」発表を阻止すること
が出来なかったのかということです。

 振興銀行が3月決算を発表した時の金融担当大臣は亀井氏です。亀井氏は、
振興銀行の問題解明に積極的な姿勢を見せていたようにも見えますが、何らか
の政治的な配慮があって、一気に全容を解明することを躊躇したのでしょうか。

 今回の事件、直接的な責任を問わるべきなのは、つい最近まで世の中の「粉
飾」や「飛ばし」に関して激しく糾弾を続けながら自身でこのような醜い銀行
経営を行って来た木村氏や他の旧経営陣なのでしょうが、それを助長してきた
のは日本の政権であり、木村氏を持ち上げ続けたマスコミであり、ひいてはそ
れを許してきた日本国民と言えるかもしれません。

 そういう意味では、振興銀行の事件は、ある意味で現代日本社会全体が生ん
だ病巣と言えるかもしれません。自身の病気と向き合うためにも、振興銀行の
事件の全容解明は、是非徹底的に進めてほしいものです。
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