グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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オバマ大統領の選挙資金

 今年はアメリカの大統領選挙の年で、共和党の予備選挙も例によって事前の予想が何度も覆され有力候補が入れ替わり登場するような状況になっています。

 大統領選といえば、前回2008年の大統領選を思い出してみると、当時のオバマ候補はスマートで人々の心をくすぐる演説を行う清潔感あふれるイメージの人物であったことは間違いありません。しかしその一方で、オバマ候補は7億5千万ドルという史上空前の選挙資金を集めていました。

筆者はブッシュ大統領に対する嫌悪感の強さもあってオバマ氏のイメージの良さに期待してしまった人間の一人なのですが、オバマ氏の空前の選挙資金とのギャップにはどうもしっくりきませんでした。

当時は、オバマ氏は5ドル、10ドルといった小口の献金をネットで集めてこれだけ巨額な資金に膨れ上がったといった報道が中心でした。オバマ氏は確かに小口の献金も相当な量を集めたのですが、実際には多国籍企業やウォール街などから集めた資金が大部分で、200ドル未満の献金は全体の1/4に過ぎなかったことが後日判明し、メディアでは小さな扱いしかされませんでしたが、一部で大きな関心を呼びました。

アメリカでは表向きは企業や団体からの直接の献金は規制されていますが、企業経営者が政治活動委員会(PAC)を組織して自発的に献金することは認められ、事実上の企業献金になっているのです。オバマ大統領は、ネットの草の根運動で集金したというイメージを作り上げることに成功したものの、実際にはブッシュ前大統領とほとんど変わらないような企業群からの巨額の資金援助を受けていたのです。

 7億5千万ドルというと、当時の為替レートを110円ぐらいとすると、825億円となります。民主党の小沢元代表の4億円の資金の記載問題が、大問題化されてしまっている状況を考えると、全く想像を絶する世界です。

 アメリカの選挙はどうしてこんなにお金がかかるのか。それは、テレビのコマーシャルを使用するからです。テレビを使った情報戦は近年ますますエスカレートしているようであり、今回の共和党の候補者選びでも、各候補者が巨額の資金を使ってライバルの中傷合戦をするという非常に醜悪な状況になっているようです。

 それまで無名候補であったオバマ氏が、最右翼と言われ続けたヒラリー・クリントン氏に民主党の代表選びで勝利し、一気に大統領にまで上り詰めたのは、大量のコマーシャルを使ったイメージ戦略の勝利と言われています。オバマ氏に献金した企業も、彼のルックスや話術が「使える」と判断した結果、それほどの資金が集まったのでしょう。

前回はジャーナリストの堤未果氏が岩波新書から出した「貧困大国アメリカ」(2006年)をご紹介しましたが、堤氏は2010年1月にその続編となる「貧困大国アメリカⅡ」を出しています。そこでは、オバマ大統領が進めた医療改革で、結局は製薬会社と医療保険会社がますます利益を上げる一方で、中流以下のアメリカ人が一歩間違えるとすぐにホームレスにまで転落してしまう社会であることなどを描いています。

堤氏はオバマ政権発足直後から、オバマ政権の本質を見抜いていたようで、就任後間もなく書いたこの本で、消費者運動で著名な弁護士の次のような言葉を引用しています。「耳ざわりのいいスローガンよりも、七億五〇〇〇万ドルの選挙資金の出所をチェックすれば、就任後の彼の方向性がブッシュ政権の継続になることは火を見るより明らかだ、小口献金は四分の一に過ぎない。見なければならないのは、残り四分の三を占める大口献金リストの方だ」。

 今年のアメリカの大統領選挙、このような視点からのチェックは不可欠かもしれません。
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