グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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ウォール街のデモの仕掛け人

 ウォール街を占領しろ「Occupy Wall Street」という若者達のデモがますます拡大し、毎日のように、「シカゴに伝染」「ワシントンDCに伝染」などと、全米の主要な都市へ拡散する様子が連日のように伝えられています。

 このデモの動きに対しては、「明確な主張がない」「リーダーがいない」などの指摘が主要なメディアから流されています。

 実はメディアが、こうした報道を行うのは、ある背景があるようです。

 9月の中旬に「Occupy Wall Street」運動を最初に企画して人々に呼びかけたのはエストニア出身でカナダ在住のジャーナリスト、カレ・ラースン(Kalle Lasn)氏、69歳です。70年代にカナダに移住する前は東京に在住していました。カナダの非営利雑誌「アドバスターズ」の創業者です。

 9月17日に最初のデモが企画されましたが、そのデモのポスターは、猛牛の上でスリムなバレエダンサーが踊っている絵に「WHAT IS OUR ONE DEMAND?」と書かれた何やら謎めいたものであったからです。
Occupy Wallstreet

 ラースン氏がカナダのオンライン・メディア「The TYEE」のインタビューに応じたものが最近掲載されましたが、このあたりの事情について非常に興味深い説明をしています。

 ラースン氏の言葉はかなり難解な部分もあるのですが、どうやら彼らが目指すことは、自分自身でこの運動の方向性を示すのではなく、運動に賛同する人々が集まり、集まった人々自身がどんなことを要求すべきかを熱心に議論することを促そうとしているようです。

 ラースン氏達の呼びかけは人々のいわば触媒的な役割を果たすもので、人々に「Meme(ミーム)」を植え付けるという表現をしています。ミームとは「文化を形成する様々な情報であり、人間の間で心から心へコピーされる情報(wikipediaより)」だそうです。こうした手法をとることによって、人々の心理のより深い部分に働きかけをしようとしていると語ります。

 要は何か魔法のような目に見えない心理的な伝達力で、人々に化学的な作用を起こさせ、人々が自分たちで新しい道を探すことを期待している、という感じでしょうか。

 そういう意味では、デモがどこに向かうのか、まだまだ魔法の影響を受けた人々の間で議論が始まったばかりであり、そんなに簡単に明確な方向性が見つかっていないのは当たり前の状況なのかも知れません。

 現在、デモはラースン氏の予想を遥かに超える勢いで拡大し、今月15日でには、ヨ―ロッパにおいて、初めてのデモが計画されているそうです。さらに11月3日、4日のG20の会合時には、数百万人規模が集まることもあり得るという期待まであるそうです。

 そうなると、最近中東で起こったような奇跡的な出来事がアメリカにも起こりレジーム(政治形態)が変わるという事態の可能性も否定できないような状況になってきたと、ラーソン氏は考えているようです。

もちろん、アメリカはチュニジアやエジプトなど中東とは状況が全く異なり、残忍な独裁者が支配しているわけではありません。しかしながら、議会へのロビー活動によって権力を振るって来た一部の大企業や組織が、ある意味でアメリカをコントロールし続け牛耳ってきたとも言えます。ラースン氏は、何らかの形でこのレジームを変化(regime change)させなければならないと主張します。

 さて、このウォール街占拠運動が、これからどのような道を歩むのか、どこかで内紛が起きて分裂するのか、それとも雪だるまのように膨れ上がって本当に社会を変えるような地点まで到達するのか、今の時点では何とも言えません。

 しかしながらラースン氏の考え方を読む限り、「Occupy Wall Street」の機運が、少なくとも当面の間は現在のアメリカの一部の金持ちグループが牛耳る企業に支配されている現実に不満を持つ大多数の庶民の心の奥深くを刺激し続けるように感じられます。

 きっと多くの日本人が現時点で想像している以上に大きな機運に発展していく可能性が、高いのではないでしょうか。
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