グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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レア・アース

 尖閣諸島問題でクローズ・アップされた、希少な資源レア・アースについて
は、最近では国内より米国で議論が高まっているようです。米政府や議会で中
国への過度の依存から脱却する施策を検討しているといった報道が次々に行わ
れています。

 レア・アースとは、17種類の希少な元素の総称です。原子番号順に並べると、
21のスカンジウム、39のイットリウム、そのあとは57のランタンから71のル
テチウムまで15元素(これらをランタノイドと呼ぶ)の合計17です。

 理科系の勉強をされた方であれば、高校の化学の時間に元素周期表を覚えた
記憶があると思います。残念ながら筆者にとっては、元素周期表はすっかり忘
却の彼方にあり、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)ぐらいは、確かに勉
強した覚えがありますが、原子番号57以降の元素は、かなり怪しい記憶しか残
っていません。

 これらの17の元素は、例えば光磁気ディスクに65番と66番が必要といった
具合に、バッテリー、液晶ガラス、超強力磁石、蛍光体などの製造にそれぞれ
いくつかのレア・アースが使われているらしいのです。

 この結果、レア・アースが無いと、携帯電話や液晶テレビ、ハイブリッド・
カーの製造が滞ってしまう可能性があるわけです。

 詳しいことは知りませんが、過去のハイテク製品の開発にあたって、試行錯
誤の末にこのようなマイナーな元素を高純度で使用する方法に到達したのでし
ょう。かつては日本がレア・アース需要の半分以上を占めると言われていまし
たが、現在は中国が消費量においても最大になっているようです。
 
 レア・アースの生産は現在でこそ、中国が9割以上の独占率を誇っています
が、第二次大戦直後はインドとブラジルが生産を独占し、その後南ア、そして
米国へとその地位が移りました。近年は中国の内モンゴル地区にある不純物質
が少ない炭鉱から、安価なレア・アースが量産されるようになり、価格で他の
生産地を駆逐してしまったようです。

 このようにレア・アースの資源自体は、世界各地に点在するようですが、最
近は中国に任せきりになっていたので、他の地域では精製技術や生産体制が失
われてしまっていたようです。

 中国がレア・アースの輸出を渋るのは、今回は尖閣諸島問題での脅し材料と
してですが、もともとは自国内での需要が急増していたためであり、既に数年
前から輸出量を大幅に絞り込んできています。
 
 このような事情があるので、レア・アースの中国への過度の依存に関する産
業界の問題意識は以前から高く、今回の事態でマスコミや政治が騒いでいるの
と対照的に、国内の産業界は冷静なスタンスです。

 中国以外にも、カザフスタンやベトナムなどを開拓し輸入先を多角化するこ
とや、レア・アースの使用料を大幅に減らすハイテク部品の製法の開発、それ
に資源の備蓄や、いわゆる都市鉱山に眠っている資源の再利用など、さまざま
な対策が既に検討されているようです。

 安全保障的な観点も加えて、近年のレア・アース価格の高騰が、中国以外の
生産を採算ベースに乗せているという要因もあり、レア・アースのかつての独
占的な生産国であった米国が量産を再開するのはさほど遠い将来ではなさそう
です。

 いずれにしても、今回の尖閣諸島問題は、日本や米国の政治家が産業界の長
年の訴えに突然耳を貸す機会になったことは間違いなく、中国としてはレア・
アースの供給の独占的な地位を、自ら脅かす皮肉な結果になるのかもしれませ
ん。
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