福島原発の事故は、期せずしてエネルギー政策を巡る国、官僚、電力会社、学者、それにメディアの利権構造を浮き彫りにする効果をもたらしました。
これまでのメディアから国民に流される情報は、国民のためのものでなく、特定の利権グループの利益を守る為のもので、彼らの言う「経済性」とは彼ら自身のおカネのことであり、「安全性」は適当にでっち上げた空想の世界のことであったことが分かったのではないでしょうか。
さて、そのようなカネ中心の構図が日本だけの特殊な現象なのかといえば、当然答えは「ノー」ではないでしょうか。日本人にも悪い奴はいますが、世界の悪い奴に比べれば、赤子みたいなものです。
今から1年半前の2009年12月、コペンハーゲンでCO2の削減を話し合う気候変動枠組み条約第15回締結国会議(COP15)が行われたことは、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。
コペンハーゲンのCOP15は法的拘束力のある合意の締結に至らず、会議自体が「失敗」だったという評価がされましたが、実は地球温暖化問題への人類の取り組みは、会議とは別のところでも大きな揺さぶりを受けていました。
会議が行われる数週間前に、地球温暖化問題の世界的権威とされる、英国イースト・アングリア大学・気象研究所(CRU)所長のフィリップ・ジョーンズ教授の千通を超すe-mailや研究データの一部が流出して、これまで地球温暖化問題の科学的根拠として説明され続けて来た気温のデータが「捏造」だったのではないかという騒ぎが起こったのです。
そのメールにはこれまでの世に示されてきたデータは「トリックを使って1961年以降の平均気温の低下のデータを隠した」という文章などさまざまな証拠が含まれ、国連の議論まで捏造した理論でコントロールされていたことまで判明したというのです。
資料流出の反響は大きく、ウォーターゲート事件をもじった「クライメートゲート(Climategate)」をいう言葉も生まれたほどです。
しかし、それまでCO2削減の大プロパガンダを実施していた日本の大メディアは、こうした状況ではよくある通りでこの捏造疑惑をほとんど完全に無視しました。本来は報道の自由が保証されているはずの日本のメディアが、時として、政策当局者の一員であるかのように一方のサイドの主張を繰り返す構造は、福島原発直後1,2週間の報道ぶりで見ての通りです。
欧米のメディアの一部は、この時の捏造疑惑を大々的に報道しましたから、結局CO2削減問題に関連するさまざまな疑惑は、欧米人であれば普通に知っているのに、日本人だけ何も知らずに二酸化炭素が地球環境にとって突出した大問題であるという洗脳を受け続けたことになります。
さて筆者も最近になって認識したことですが、福島原発の事故で一段と有名になった中部大学の武田邦彦先生はCO2問題で多くの日本人が知らない問題を大変積極的に取り上げていました。メディアの報道だけでは大きく歪められてしまう日本人の知識の多様化に一生懸命取り組んで来ていたわけです。
下の2冊の本は、いずれも昨年発行されたものですが、上記のようなCO2問題の日本人が知らない側面を勉強するには最適な本です。


エネルギー政策は、世界中の巨大な利権が絡む世界最大の産業と言ってよいでしょう。こうした巨大なカネが動く世界では、さまざまな「謀略」を巡らして、自分たちの利益を高めようとする人々がいて当たり前の世界です。
そういった視点を持ちつつ、メディアが伝える温暖化問題の報道を鵜呑みにしないように心がけるには、ちょうどよい頃合いなのかもしれません。
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