グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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ギリシャ危機から1年: 結局デフォルトやユーロ離脱は避けられない?

 ギリシャの危機が急激に進展したのはちょうど1年前のゴールデン・ウィークのことでした。昨年の5月2日の日曜日、ユーロ圏のサポートと引換にギリシャ政府が厳しい財政削減策を国民に提示すると、国民から激しい抗議が起り、5月5日には、デモの群集が投げた火炎瓶で3人の銀行員が死亡するという状況にまで事態は悪化しました。

 このような混乱した状態の映像が世界中に流れ、日本の休暇シーズン中に金融市場では激しいユーロ売りを浴び、これをきっかけに急激な円高が進みました。

 さてそれから1年、ゴールデン・ウィークはギリシャの危機進行と縁があるようで、ギリシャの10年債の利回りは12%台から一時16%超に跳ね上がり、追い討ちをかけるように格付け機関のS&Pはギリシャの格付けを「BBマイナス」から「B」まで引き下げました。「B」はいつデフォルトしても全く不思議でない水準です。

 同じユーロ建ての10年ドイツ国債の利回りは現在3%ちょっとですから、ギリシャは13%も余計な金利を投資家に払わなければなりません。政府の借金がGDPの150%近くに達する国では、この上乗せ金利をそのまま適用すると、GDPの2割近くを毎年サラ金のような金利支払いに当てなければならない計算になります。これでは到底クビが回らないことは自明です。

 問題はこうした構造が、1年前から程度の差はあれ本質的には全く変わっていないことです。分かっている問題を放置したために状況がさらに悪化しただけなのです。

 ギリシャのように身の丈に合わない海外依存の借金でクビが回らなくなった国は、かつてのアルゼンチンのように、債券をデフォルトして債務の軽減してもらうとともに、自国通貨を大幅に切り下げて、自国産業の競争力を高めるしかないのです。

 そうしたことは、ユーロ圏の当事者達にとっても程度の差はあれ皆が認識していたことだと思いますが、1年も放置されてきたのは、政治的問題以外の何ものでもないのでしょう。

 政治的問題とは、政治の独立を維持したまま通貨同盟をするというユーロの壮大な実験に失敗の烙印を押したくないという事情です

 もし政治的な理由で「ユーロ離脱はリスクが大き過ぎる」として離脱の可能性を排除するのであれば、それに匹敵するような大胆な施策をひねり出す必要があったのですが、そんな代替案は初めからありませんでした。

 最近になってようやく、ギリシャの債務再編やユーロ離脱が欧州の当事者達の間で現実的な選択肢として議論に上るようになってきました。しかし、関係者の多くは率先して声を上げることを躊躇し、仮に誰かが声をあげても、建前論を並べてなかなか議論が進まない状態です。

 リーダーシップの欠如と最終的な責任関係がはっきりしないという意味では、欧州の通貨同盟は日本の官僚支配社会と相似点があるのかも知れません。

 結局のところ、ギリシャはデフォルトを選択肢に含む債務の削減策と、少なくとも一時的なユーロからの離脱は不可欠のように見えますが、欧州がいつ、どのようなプロセスを経てその結論を受け入れるのかは興味あるところです。
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