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武久源造:「ゴールドベルク変奏曲」

ゴールドベルク
 このゴールドベルク変奏曲の録音は素晴らしいです。
 チェンバロ奏者の武久源造さんのことは、うかつにも最近紹介してもらうまで知りませんでした。ゴールドベルク変奏曲といえば、グレン・グールドがキャリアの最初と最後に録音した2枚のCDが大変に有名ですが、武久さんの演奏はある意味ではグールドとは正反対の音楽です。

 グールドの演奏は、あまりにも感性豊かで繊細、耽美的ともいえるかも知れないもので、最後はその感性に演奏者自身が押しつぶされてしまった感さえあります。一方の、武久さんのゴールドベルクはチェンバロという楽器は繊細なタッチを生かしつつ、何というか骨太で確信に満ちた音楽を造っています。

 武久さん自身がCDの解説書で、「バロック以前の音楽では重要な決定が奏者に委ねられていると言う場合が多い」として、「良い演奏家は、良い趣味と良識を持つ一方で、それをも覆すかのような奇想天外なアイデアを出すことを求められているのである」と書いて、作品に対する良識と演奏者の個性のバランスが大事だと書いています。

 武久さんのこのゴールドベルク変奏曲の演奏では、テンポは安定し、(チェンバロという楽器の特性かも知れませんが)音の強弱も過度に揺らし過ぎることもなく、作品全体の構成感というか、建築性を見事に描いてます。一方で、装飾音については現代の演奏にしてはかなり自由に挿入して、バッハの巨大な音の建築物を飾っています。

 グールドの演奏が、魂を揺り動かす作用があるとすれば、武久さんの演奏は魂に安定感を与える作用があるという印象を受けました。 
 
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