グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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アイスランド化するアイルランド

 先週、アイルランド政府は既に国有化されている主要銀行に対する追加の資
本注入を発表しました。

 今回新たに注入する額は、何とGDPの20%相当分の巨額です。これによって今
年のアイルランド政府の財政赤字は、GDPの32%という想像を絶する規模になり
ます。

 財政破綻が懸念されるギリシャでさえ、今年の財政赤字は8%、日本は10%弱
であるという状況を考えれば、アイルランドの赤字幅がいかに大きいかが分か
ります。

 アイルランドの銀行の資産悪化の原因は、バブルの崩壊による不動産価格の
下落が止まらず、不動産関連融資に対する引き当てが増え続けるという構図で
す。これはかつて日本も経験した道ですが、アイルランドの場合、驚くべきこ
とに、たった一つの銀行がほとんどの不良資産を生みだしています。

 その銀行の名前は、アングロ・アイリッシュ銀行。同行は、元経営者が強力
に不動産関連融資を推し進めた結果、1997年から2007年までに驚異的なペース
で融資を拡大しました。そして、結果的にそのほとんどが不良資産化してしま
ったのです。元会長は現在逮捕され警察の取り調べを受けています。

 アイルランド政府がアングロ・アイリッシュ銀行支援に投入する資金は
最悪の場合は既に投入済みの資金も合わせると合計500億ユーロ(6兆円弱)を
超える額に達し、これはアイルランド全体のGDPの30%を超えます。

 同じ比率を、日本のGDPに適用すると、銀行一つに150兆円を投入するよう
なものです。もし、こんなことが起これば、日本でもほとんど暴動に近い騒ぎ
になるでしょう。

 アイルランドの不良資産問題の実態が明らかになったことで、アイルランド
国債の価格は大きく下落し、今ではユーロ圏ではギリシャに次ぐ高い利回りに
なりました。

 こうしてアイルランドは豚(PIGS)比べ競争においてギリシャに追従する一
番手に浮上したわけですが、一握りの銀行経営者の暴走が国家の財政を破綻さ
せようとしているという構図では、リーマン・ショック直後に主要銀行が軒並
みデフォルトしたアイスランドのケースに近いのかもしれません。
 
 そのアイスランドでは、先週、議会が前首相を金融機関の暴走を知りながら
何も手を打たなかった職務怠慢という嫌疑で弾劾裁判にかける議決をしました。
 
 アイスランドとアイルランドの違いは、通貨同盟に参加したかどうかで、ユ
ーロに加入していなかったアイスランドは通貨クローナが大幅に暴落(現在は
対ユーロで危機前の約1/3)しました。
 
 通貨の暴落は短期的には大きな痛みを伴いますが、長期的には輸出競争力強
化という形で、国の経済の立て直しの大きな力となります。

 その点については、アイルランド、ギリシャ同様に「ユーロの呪縛」に捕ら
われているのかもしれません。 
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