グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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揺れ動く中国の共産主義

 リーマン・ショックからの2年間で、中国に対する世界の見方はジェット・
コースターのように変化しつつあります。

 ショック後に底なし沼に落ちたかも知れないという恐怖から世界経済を救っ
たのは、紛れもなく中国の大胆な政府支出です。その際は、一党独裁政権の素
早く大胆な統制力の方が、有象無象が右往左往する民主主義体制より効率的に
機能するように見えました。

 しかし、たった2年間で状況に大きな変化の兆しが出て来ています。拡大を
続ける巨大な一党独裁国家が、他の世界と上手く折り合いをつけることが難し
いことが急速に明らかになってきたからです。

 投獄されている反体制作家にノーベル平和賞が贈られたことに対して、中国
政府がノルウェー政府に噛みついたことに象徴的されるのですが、一党独裁国
家はその内部の発生した矛盾を、乱暴な形で外部にぶつける以外に打つ手がな
くなっているかも知れません。

 先日の英エコノミスト誌では、中国共産党はこれまで「普遍的価値を追求す
るな」と説いたのに対して、いまは追求しないだけでなく普遍的価値と「敵対」
するようになってきたと書いています。

 「普遍的価値(universal value)」とは、自由や民主主義といった旧西側資
本主義諸国の価値観です。

 中国共産党は「普遍的価値は追求するな」という建前を続けてきたものの、
実は過去30年に渡って、自由や民主主義という概念が活字に登場する機会は着
実に増えて来たと言います。ただし、そういった議論を共産党の保守派が躍起
になって押さえようとしてきたというのです。

 2007年には温家宝首相が「科学、民主主義、法の支配、自由、人権は資本主
義だけのものでなく、人類が長い歴史で共通して追求してきたもの」というよ
うな進歩的な意見を人民日報に掲載して、中国の民主化への動きが進展したの
かと思われた時期もありました。

 しかし、最近は逆の方向に振り子が動いているようです。先月、次期国家主
席の有力候補者である習近平氏が行ったスピーチでは、「普遍的価値」追求を容
認する姿勢を示唆するところは全くなく、逆に共産主義者としての価値に最重
点を置くという内容だったそうです。

 過去30年間、中国の独裁政党は経済的には西側流の手法を容認して世界第二
のGDPという地位を獲得することに成功したわけですが、このまま政治的にも
「西側化」してしまった場合は、自分たちの権威基盤が揺らいでしまうという
危機意識を強めているのでしょうか。

 最近の中国政府が対外関係で示しているエキセントリックで強硬な態度には、
このような「普遍的価値」に対する攻撃姿勢が反映されているのかもしれませ
ん。つまり、自分自身の内部で起こっている、「揺れ動き」が大いに反映されて
いるものと想像されます。

 尖閣諸島問題では、小平氏が「封印」してきた方向性からの転換が起こっ
たという観測があります。しかし、どうやら、転換期を迎えているのはこの日
本との領土問題という局地的な問題だけでなく、一党独裁の政治体制のまま、
経済だけ西側流の拡大に走るという、小平氏以来の中国が歩んできた道その
ものなのかも知れません。
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