グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インド経済の潜在力

 インド経済は好調な成長を続けています。先月発表された今年第2四半期の
GDPは前年同期比8.8%という高水準で、今年通年でも8.5%の成長が見込まれま
す。サービス業などの内需が好調な上、製造業も高い水準の伸びを維持してい
るからです。

 このように、中国にも引けを取らない成長をしているインドなのですが、先
日テレビで興味深い報道を見ました。インドは世界有数の穀物生産国であるに
もかかわらず、生産した穀物を流通させるインフラが整備されていないために、
収穫した穀物の1割は人々に売る前に腐っているというのです。

 雨風を防ぐ程度の倉庫があれば、これほど無駄にすることはないのに、穀物
が外に野ざらしにされているために、簡単に腐ってしまうそうです。

 成長著しいインドですが、一人当たりの生活水準は依然としてかなり低く、
国民の25%以上が貧困水準以下の生活をしている一方で、毎年大量の食料が流通
できずに廃棄されていくわけです。

 これは、巨額の財政支出で過剰なほどのインフラ整備を行う中国とは対照的
な状況であると言えるかもしれません。おそらく、政治的にも文化的にも極め
て集団主義的な中国に対して、インドの個人主義的な色彩が強い風土が大きく
影響しているのでしょう。

 そういえば、何年か前に、バンガロールで行われたサッカー日本代表のアジ
ア・カップ予選の試合が、停電のために2度も中断したことがありました。い
まどき、こんな珍事はめったにお目にかかれません。

 こんなにひどいインフラなのに、高い成長率を維持していることは、逆説的
ですが、なかなか大したものです。

 インドの弱い政府の財務基盤と弱い政治的指導力、その結果としてインフラ
がいつまでも脆弱であるにもかかわらず、順調な経済成長を遂げているという
ことは、それだけ民間部門が活力に溢れているともいえます。

 インド経済を成長させている力が、政府の政策と直接関係ない草の根の民間
部門の強さであるという意味で、インドの資本主義は中国の不思議な中央集権
的な資本主義より安定性は高いのかもしれません。

 さらに、インド経済は輸出に依存していないという点においても、海外要因
や各国の政策による影響を受けにくいという強みもあります。

 もったいない穀物の状況などに分かる通り、貧弱なインフラによって、イン
ド経済のパフォーマンスは大いに阻害されているようです。ただ、逆にいえば
もう少しインフラさえ整えば、経済はさらに飛躍的に伸びる可能性があるよう
にも思われ、その潜在力は実は中国以上という見方もあります。

  日本企業もこのことに気がつきはじめたのか、2008年度は単年ですが日本
企業のアジア向け直接投資の相手として、インドが初めて中国を抜きました。

 さて、最近中国が、世界の他の国々と摩擦を起こすようになって、中国とイ
ンドのコントラストが、より鮮明になってきた気がします。まだまだ無駄が多
い民主主義国家のインドと、効率的な独裁国家の中国、10年後に、両国がどの
ような成長軌道をたどったのかを振り返ってみることが楽しみです。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。