グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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日本の財政問題(その2):2009年の民主党の歳出削減策

 最近民主党内では、2009年のマニュフェストを巡って、「原点に戻れ」「戻らない」の議論が盛んですが、そのマニュフェストでは、いったいどんな歳出削減案だったのか、もう一度振り返ってみます。

 2009年マニュフェストでは、207兆円の総予算を一般・特別会計と別の切り口でブレークダウンしています。(下表参照、「削減額」というのは民主党が示した数字です)
民主党歳出削減

 注意しなければいけないのは、この民主党の項目分けは、一般会計と特別会計の合体はされてはいますが、用途別の項目をきれいに集約しているわけではありません。例えば、公共事業費は補助金のなかにも含まれているし、地方自治体の人件費、庁費等や公共事業費などの一部は補助金の中の地方交付税から間接的に支払われています。

 さてこれらの支出項目のうち、国債発行残高とともに膨張を続ける借金返済等を除外すると、残りの中で最大の支出項目は「補助金」です。補助金には使途を特定しない「一般補助金」と、使途を特定した「特定補助金」があります。「一般補助金」の代表は地方交付税で、一方「特定補助金」は老人医療や生活保護などの社会保障費や、文教・科学振興費、それに公共事業に対する補助金も含まれます。「事業仕分」で問題になった独立行政法人などに対する支出は、この補助金という形や、公共事業などの契約受注という形で行われる部分が大きいのです。

 使途を特定した「特定補助金」は、役所用語では「国庫補助負担金」という名前ですが、簡単に「国庫支出金」と呼ばれることもあります。

特定補助金が官僚と族議員とその他利益誘導集団が絡んだ利益誘導政治に陥り易いという指摘は従前からあり、小泉内閣時代のいわゆる「三位一体改革」によって補助金の削除努力が始まりました。しかし特定補助金を「ひもつき補助金」として激しい攻撃の対象としたのは小沢氏が党首時代の民主党であり、2009年のマニュフェストはその路線が色濃く反映されています。マニュフェストの4つ目の約束には「地域主権の確立」を挙げ、「国のひもつき補助金(社会保障費、義務教育関係は除く)」は廃止するとしています。

ちなみに平成21年度の「特定補助金」の明細は以下の通りです。
総額:19.5兆円
社会保障関係:12.9兆円(うち老人医療4.3兆円、市町村国保2.2兆円など)
文教・科学振興関係:2.0兆円(うち義務教育費1.7兆円)
公共事業関係:3.9兆円
その他:0.7兆円

マニュフェストでは庁費等、委託費、施設費、補助金の4項目から6.1兆円の歳出削減をするというプランでしたが、その大部分は「特定(ひもつき)補助金」、特に公共事業費の削減による予算の見直しという考え方であったようでした。しかしながら、ひもつき補助金のなかでも、実際には手がつけられない社会保障や義務教育費だけで全体の3/4近くを占めており、民主党の6.1兆円の削減と言う主張はこの部分だけではやや無理があったようにも見えます。この規模のムダの削減のためには、地方公務員人件費の大幅削減など地方交付金などを含めた他の項目などにも目を向けないと厳しかったのかも知れません。

 最近、自民党は地方公務員の人件費削減策を売り物にし出しているのですが、それは2009年の民主党マニュフェストを批判する中でみつけた欠点を、自分の政策としたのかもしれません。そういう意味では、2009年の民主党マニュフェストは、各政党が歳出削減策を競い合うきっかきにはなったのかも知れません。

日本の財政事情(その1)
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