グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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急激な緊縮財政を断行する英政権

 昨今の日英の政府の財政再建に対する取り組みは非常に対照的です。かたや国民から「あまりにも急激で厳しすぎる再建策」と非難されるほどの緊縮財政策を矢継ぎ早に発表し、一方は歳出削減に対する熱意は既に失ってしまったかのようで、官僚主導のまま昨年度と同額の予算規模を通そうとしています(ただし増税にはだけは興味ありそうですが・・)。

 両者を足して2で割ることは出来ないのかと考えてしまうくらいです。

 昨年10月、既に6月に付加価値税の引き上げを決めていた英国のオズボーン財務相は今後4年間で810億ポンド(約11兆円弱)の歳出削減をする案を打ち出しました。

その具体策として英政府は公務員の大幅人員削減(8%)と待遇の抑制、大学の授業料の大幅引き上げ、医療改革による医療費増加の抑制策を発表、国防費も例外ではありません。今月に入るとオズボーン財務相は、大手銀行に対して中小企業向けなどを中心に総額1,900億ポンドの融資を拡大することや、銀行から25億ポンドの税金を新たに取り立てる考えを発表して世間を驚かせました。

さらには年金の給付開始年齢の引き上げ決定や、長年多額の費用をかけて養成した戦闘機パイロットの卵たち100人を実際に任務につかせる直前に解雇したというニュースも飛び込んできています。

 英国は「英国病」と呼ばれていた1970年代に財政悪化からIMFに支援を求めました。キャメロン首相やオズボーン財務相はこのときの屈辱が再現されるのを最も恐れているようです。

 かつて英国が搾取を続けていた隣の島国のアイルランドでは、金融機関の不良資産問題から国際金融市場の攻撃を受け、国債の調達コストが大幅に上昇し、ユーロ圏諸国などからの支援なしでは立ち行かない状況に追い詰められました。

 英国国債の海外投資家保有比率は35%前後であり、同じ比率がたった5%しかない日本国債の場合と、国債価格下落に対する危機感にも大きな差があります。

 英国民が増税や、国民へのサービスの大幅な低下の政策に耐え忍んでいるのはこうした歴史的な背景や、周辺諸国の状況があるからでしょう。

 さらには、金融危機によって、金融産業頼りの成長戦略を捨てざるを得なかったことも大きいようです。ちっぽけな島国で、製造業は遥か昔に衰退しきってしまっている英国は、金融産業に今後過大な期待をすることが出来ないとすれば、当面低空飛行の成長率を覚悟しなければなりません。そうだとすれば、リーマン・ショック前の景気が良かった頃と同じ気分で政府が支出を続けることは出来ないのです。

 いずれにしても、英国人にとっては70年代のトラウマの影響は大きく、政府をこれだけ過激な緊縮財政策に駆り立てているのでしょう。

 一方日本には、別のトラウマがありそうです。第二次大戦で無謀な闘いを始めた結果形成された、アメリカにだけは逆らってはいけないというトラウマです。そちらに対する恐怖心があまりにも強く、その反動で財政悪化に対しては極度の不感症になってしまったのかもしれません。

 強烈過ぎる英国の緊縮財政と、与野党の政治家たちが危機感のかけらもなく内ゲバに明けくれる日本。どちらの対応がどのような結末を迎えるのでしょうか?
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