グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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トリシェ総裁対バーナンキ議長

大量の国債購入を続けるFRBとは対照的にECB(欧州中銀)のトリシェ総裁はインフレ懸念を口にし始めています。今週はじめトリシェ総裁は、ユーロ圏のインフレ予想をするに当たっては「現在のように商品価格がインフレの脅威となる状況では、各国中銀は二次的な影響が生じないようにする必要がある」と発言しました。トリシェ総裁は今月の半ばにも同様な懸念を示しているので、よほど気になっているのでしょう。

バーナンキ議長と、トリシェ総裁の違いを考えるとき、「市場感覚」の違いをいつも感じます。

マーケットの動きは、たとえ長い間ある大きなトレンドをもって動いていたとしても、いつの間にかそのトレンドがひっくり返っていることがしばしばあります。トレーダーや投資家は、このトレンドの転換点を見極めるのが非常に大事であるのですが、この転換を感じ取ることは容易なことでありません。

トレーダーのタイプにもいくつかあって、鋭い感性重視で、それまで「ロング」と言い続けていたにもかかわらず、ある日突然、言葉にできる明確な理由もないのに「ショート」と言い出すタイプです。もうひとつのタイプは理論派のトレーダーで、感性より理屈重視です。

さて、トリシェ総裁とバーナンキ議長をトレーダーに例えた場合、トリシェ総裁が感性派かどうかは多少議論の分かれるところでしょうが、バーナンキ議長が理屈重視であることは間違いないでしょう。

バーナンキ議長は、2008年にリーマン・ショックが起るまでに、「サブプライム問題の影響は限定的」と言い続けていました。サブプライム・ローン市場は米国経済を揺るがすほど規模の大きな市場でないというのがその「理論」で、確かにその理屈には一理あったのですが、実際はその理論には大きな落とし穴がありました。

一方のトリシェ総裁率いるECBは、リーマン・ショック以前にもインフレを懸念し過ぎるというフライングがありましたが、金融システムの脆弱性に気付き金融機関のファイナンスをサポートすることでは、バーナンキ議長に先んじて思い切った手段を講じています。

もし両者のどちらかに資産を預けて運用してもらわなければならないとすれば、個人的にはバーナンキ議長には預けたくないかもしれません。

感性重視のトレーダーはしばしば小さな誤りを犯すかも知れませんが、感性が鋭ければ間違いにすぐに気が付きます。一方理論派で頭でっかちなトレーダーは、間違いに気がついた場合にはすでに手遅れで巨額な損失を出してしまうこともあるからです。

中央銀行総裁の仕事と、トレーダーの仕事を混同するなとお叱りの声が出るかも知れませんが、バーナンキ議長やトリシェ総裁は地球経済の最も影響力のある運用者であるといえるかもしれません。

最近のトリシェ総裁の発言を見て、こんな風に感じました。
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