グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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今年の米国経済の行方

今年は米国経済がどうなるのだろうか?と考えてみると、実は1年前と強弱の材料はほとんど変わっていないことに気がつきました。

懸念材料は、高止まりする失業率と、カード・ローン破綻など個人の信用リスク、それに一段の下落リスクを抱える不動産市場、さらには地方政府の財政破綻懸念などです。一方でプラスの材料は、安定感を増しつつある金融市場と、好調な企業業績、さらにドル安と新興国の成長を中心とした堅調な海外経済といったところでしょうか。

材料自体は変わっていないのですが、全体とすれば1年前よりは懸念材料に対する心配は多少和らいできているかもしれません。

昨年末に10%であった失業率は、先週発表された数字では9.4%に低下しています。昨年1年間で就業者数は110万人増加していますから、若干は良い方向に向かっているといえます。ただし、過去の景気後退時に比べると改善のペースは著しく遅く、多くの失業者が失業したままの状態です。

個人破産は2008年以来急速に増加する傾向が続いてはいますが、まだ過去20年の平均的なレベルから大きく乖離している状況ではなく2005年のピークにも及ばない水準ですので、これが社会の根幹を揺るがす事態にまでは至りそうもありません。

不動産価格についても、先月末に発表されたケース・シラー指数が再び前年比でマイナスに転じるなど引き続き不安定ではあるものの、金融システムの安定化が進んでいる現状では、今のところ社会全体で穏やかに吸収することが可能なペースでの停滞といえそうです。

ケースシラー
ケース・シラー住宅価格指数:出所スタンダード&プアーズ社

唯一、地方政府の財政問題だけが、大きく懸念が高まっていて今年はこの問題がさらに大きなニュースに発展しそうな気配です。ただし、これらの懸念材料も全体としてみれば米経済に対する心配は1年前よりは少し後退しているといえるかもしれません。

好調な企業業績でありながら雇用環境が穏やかな改善しかしなかったにもかかわらず、昨年の個人消費は意外に堅調な伸びを示したことが、懸念材料緩和に大きく役立ったのですが、実はこの傾向は、米国に限らず主要国に共通していることです。

2008年10月のショックの後には、30年代の大恐慌との比較がよくなされましたが、大恐慌の際は暴落が始まってから3年間も株が下がり続けたのに対し、今の米国株は既にリーマン・ショック前に回復しています。

グリーンスパン元議長など「100年に一度の危機」と叫んでいた多くの人々は、失笑を浴びている状態で、今は大恐慌と比較する声はほとんど鳴りを潜めています。

そうはいっても人々がショックの記憶を完全に忘れて、景気や市場のマインドが強気一色で浮かれているわけではないことは、今後の暴落リスクを大きく減らすという意味で大きなプラス材料であるともいえます。

株価の動きは経済活動の結果であると同時に、経済を動かす原因でもあるので、割安な株価と慎重な投資スタンスは、極めて良い兆候ではあるのでしょう。(もちろんこういった状況が長く続くと、再びバブルが頭をもたげるのですが・・)

結論とすれば、油断は禁物ではありますが、目に見えて大きな悪材料が出てくるまでは、当面は米国経済についてあまり心配しすぎる必要は無いのかも知れません。
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