グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

中国のインフレ懸念

 先日、中国の人民銀行が今年5回目で今月だけでも2回目の預金準備率の引
き上げを実施しました。一ヶ月間に2度も引き上げをするのは、極めて異例な
状況であると言えます。

 中国の預金準備率とは、中央銀行である人民銀行が市中銀行から強制的に預
かる資金の比率のことで、預金準備率を引き上げることによって、市中の銀行
から余剰資金を吸い取る効果があります。

 金融引き締め策は、これ以外に利上げがあって、中国は、先月中旬に2年10
カ月ぶりの利上げを発表し、この時は少し唐突感があったので、関係者を驚か
せました。

 人民銀行は、早ければ今月中にも今年2回目の利上げを実施する観測が高ま
っています。

 このように、中国の金融当局が厳しい金融引き締めモードにあるのは、不動
産や株式に対する投機資金が流入していることや、インフレ率が10月には4.4%
まで上昇しているからです。
 
 中国では食品価格などが数十パーセントの大幅値上がりをしていて、国民の
不満が高まっています。実際のインフレ率は政府の発表する数字より遥かに大
きいのではないかと思われます。

 中国では、労働者の賃上げも急速に進んでいて、先日の英FT紙では、中国企
業でさえ「安い労働力」を求めて、バングラディッシュやベトナムに進出する
ことを検討していると伝えています。

 米アップルやヒューレット・パッカードなどの製品を受託製造するフォック
スコンという中国の大手メーカーの工場で次々に自殺者を出して、世界中に波
紋を呼んだのはわずか半年ほど前のことです。

 その後、フォックスコンは30%の賃上げを実施しました。賃上げ要求の余波は
日本企業を含む多くの企業にも次々に及んで、工場でストライキによる操業一
時停止から2,3割の賃上げによる解決というパターンが、あちこちで見られま
した。

 こうやって賃上げを獲得した労働者たちにとっても、豚肉や野菜などの食料
品が同じぐらい値上げされてしまうので、またすぐに賃上げの要求が出てくる
のでしょう。そして、工場での賃上げは、やがて工業製品の価格にも反映され
ることになります。

 高度成長期に、物価と賃金がスパイラル的に上昇するのは、かつて日本も経
験したことですが、中国は社会構造の変化にともなうインフレという意味でも、
急激に日本の歩んだ道を追いかけているのかもしれません。

 ただし、昔の日本と大きく異なる点もあります。全体的には急速の豊かにな
る一方で、国民の間で、インフレに加えて、富の偏在や言論の自由がないとい
う面での不満も急速に高まりつつあることです。こういったことが、中国の政
治に不安定な状況を生みだしている一因になっていることは間違いないでしょ
う。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。