グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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中国経済の持続性への懸念

 先週の週末、中国の英字新聞チャイナ・デイリーは、中国人民銀行の元通貨政策委員のYu Youngding(余 永定)氏のコラムを掲載しました。

余氏は、中国経済運営の要職を務めたばかりでなく中国国内でも有数の経済学者として知られているようです。掲載されたコラムでは、中国経済や政治を内側から知り尽くした余氏が、中国経済の今後の成長について、海外の甘い幻想を打ち砕くような厳しい指摘をしています。

余氏の指摘を簡単に要約すると、これまでの中国の高成長は、地方の役人主導の「ハコモノ」建設に依存する部分が大きく、その中には過剰に豪華で無駄なものが多く資本効率は非常に悪いということです。その一方で、中国の公害は世界最悪となり、また国内の新しい技術に関するイノベーションは育っておらず 国民に必要な公共サービスにはお金が回っていないとも指摘しています。

特に問題なのは、政府と企業の癒着体質によって、経済成長にもかかわらず貧富の差は拡大していることで、中国は「金持ちと権力者の資本主義」であるという評価も紹介しています。そして、このような好ましくない状況に対して、中国の体制は本来なら能力の高いエリートが指導することで改善するはずなのに、実際にはそれとは程遠く、おべっかや冷笑が支配している状況であり、問題の是正は難しいとしています。

このような余氏の指摘は、ひとつひとつは必ずしも目新しいものではありませんが、中国経済の抱えるアキレス腱としてこれまでも断片的には指摘され続けてきた問題を、中国内部の有数の識者が率直に認めたという意味で、大変に興味深いものでした。

 過去20年の奇跡的とも言える中国経済の成長を目のあたりにすると、実際現地でどんなことが起っているか分からない海外の人間は、ついつい中国の経済システムが優れたもので日本やアメリカを打ち負かすように思えてしまいます。

しかし、現在の中国の躍進も、実際にはバブル期の日本と同様に、表面的な好調さの陰には大きな構造的な問題を抱えていて、長期的な持続性に関しては非常に疑わしい部分があるのかもしれません。

 ただし、そうは言っても必ずしも来年や再来年という近い将来に、そのような大きな構造問題が明らかになるわけではなさそうです。例えば中国の高速鉄道網は現在7000キロ強が完成しているのに対して、2020年までに1万6千キロに拡張する計画です。(日本の新幹線網は3600キロ強)

 この計画に今後5年間だけでも最大50兆円以上の投資をするというのですから、中国のハコモノやインフラ整備の投資は当面は衰えることはなく、経済成長を押し上げ続けるのでしょう。

 ただ、中国は、日本や欧州から供与された高速鉄道技術を「国産技術」として米国など海外にチャッカリ売り込もうとさえして、一部の激怒を買っているようですが、このようなモラルの欠如というのも、間違いなく長期的には中国の成長の足かせになるのでしょう。

さて、来年もまた日本は、中国や朝鮮半島発の隣人たちのニュースに振り回されそうな1年になりそうですね。
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