グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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アイルランド問題

 ここ数週間、アイルランドの危機が急速にクローズ・アップされてきていま
す。今回はアイルランドの経済問題について簡単に説明します。

 実は、アイルランドはリーマン・ショック後に真っ先に危機が判明した国で、
危機発生後はユーロ圏の他の諸国の抜け駆けをするように銀行預金の全額保護
策を発表して波紋を呼んだくらいです。

 アイルランドの危機の原因は典型的な不動産バブルとその崩壊にともなう銀
行の不良資産問題という、日本人にとっては非常に分かり易いパターンです。

 ユーロ圏における経済崩壊の先輩であるギリシャの場合と異なり、アイルラ
ンドの危機は政府の放漫財政によるものではなく、アイルランド政府の対応は
素早いものでした。

 第一次大戦後に独立するまで、長年に渡って英国に搾取されっぱなしの貧し
い農業国だったアイルランドは、90年代には法人税の大幅な減税や、IT企業の
積極的な誘致策などが功を奏し、奇跡的な経済発展を遂げました。

 それまでは西欧諸国で最も貧しい国の一つだったアイルランドは、21世紀の
初めには、一人当たりのGDPが世界のトップクラスへと変貌したのです。

 住宅バブルは、そのような経済の大ブームと若年層の多い人口ピラミッドや
東欧からの移民流入いう状況から、ある意味では起こるべくして起きた事態と
言えます。1992年から2006年までに住宅価格は3.5倍近く上昇しました。そし
て、バブルの崩壊はリーマン・ショック以前から少しずつ始まっていました。

 アイルランド政府は、昨年4月に世界に先駆けてバッド・バンクを設立して
銀行の不動産開発関連のすべてのローンを買い取るという大胆な策を発表し、
段階的にこの策を実施してきています。

 しかし、不動産バブルの崩壊の影響は、日本の経験でも分かるように、そん
なに簡単に沈静化させることは出来ません。

 アイルランドにとって不幸だったことは、アイルランドの金融機関の資産規
模がGDPとの対比で大きすぎたことと、そして大手銀行の一つであるアング
ロ・アイリッシュ銀行の傷があまりにも深かった事です。

 アングロ・アイリッシュ銀行は経済のピーク時に無謀な開発案件を数多く手
がけて、アイルランドの銀行救済に投入されている税金のほとんどの部分がア
ングロ・アイリッシュ銀行一行に投入される結果になりました。

 アングロ・アイリッシュ銀行救済に必要な資金が、巨額なものになることが
判明したのが今年の9月初めのことです。その時点から、今回の事態に至るレ
ールは既にはっきり見えていたと言えるかもしれません。

 今回の騒ぎは、金融機関救済によりアイルランドの財政が一段と悪化したこ
とで、ユーロ圏諸国からの救済を要請する必要性に迫られているのではないか
という観測が浮上したことから出発したものです。

 もし、アイルランドに支援が必要であれば、次はポルトガル、そしてスペイ
ンというお決まりのユーロ圏のドミノ倒しの懸念が、市場参加者の間に起こっ
たのです。
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