グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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ストレステスト

 先日EUが発表した、金融機関に対するストレステストの結果を、世界中の株
式市場は好感して、それまで下落していた分のいくらかを取り戻しました。

 株をやっている人々には良い材料として使われたものの、事情に通じた人々
の間での今回のストレステスト自体に対する評価は散々なものです。

 既に遥か以前から「ダメだし」されているいくつかの金融機関に対して、も
う一度資本不足の烙印を押し直しただけで、欧州の金融界が抱える隠れた問題
点を洗い出すという、ストレステスト本来の目的は全く達成されていないから
です。

 「ストレステスト」というのは、最近十数年ぐらいでよく使われるようにな
った、金融のリスク管理の用語です。

 本来は、不測の事態に備えて、さまざまな「ストレス・シナリオ」を用意し
て、それらのシナリオで想定する事態が現実に起こった場合のリスクに耐えら
れるかどうかの判断をするわけです。

 これまで金融界は、ブラックマンデー、アジア危機、リーマン・ショックな
どさまざまな、事前に予期出来なかった激しい動きに直面し、その度にいくつ
かの金融機関の経営が危機に陥りました。

 こういった反省があって、思いもかけない「不測」の事態に備えよう、という
のがストレステストという手法が生まれた背景です。

 しかし、よく考えてみると分かるのですが、「不測」の事態を「予測」してス
トレス・シナリオをつくることは、容易なことではありません。簡単に「予測」
出来てしまうようなシナリオでは、全く「不測」の事態ではないからです。

 本来は、イマジネーションを総動員して、これまで一度も起こっていない極
端な事態をあれこれ考えればよいのですが、空想力に乏しい金融界の人々はこ
れが苦手のようです。

 そういう事情で、「ストレステスト」と称して、「不測」のシナリオを適用す
るのでなく、実際に過去に起こった極端な市場の動きなどをもとに「ストレス・
シナリオ」を、適当にでっちあげるというのが一般的なやり方となりました。

 さらには、シナリオ想定が難しく、最後は「鉛筆を舐めて」エイヤで決める
しかないとすれば、それを逆手にとって、初めに結論があるような都合のよい
シナリオを作ることも可能です。

 昨年米国で実施されたストレステストも、今回の欧州のストレステストも、
本気で「不測の事態」に対する耐久性をテストしようとしたわけでなく、形だ
けテストを行ったという雰囲気が濃厚なので、一部の人々からの評価が散々な
のです。

 こういった空虚なストレステストを繰り返すとすれば、「ストレステスト」と
いう言葉自体の賞味期限切れを招くことになりそうな気がしてなりません。
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