グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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南アフリカ経済(続き)

 ワールド・カップでの日本の決勝リーグ進出を祝して、再び南アフリカの話
題を取り上げます。

 前回は、南ア経済の明るい面を中心に書きましたが、実は懸念材料も沢山あ
ります。

 南ア経済は、人口の大多数を占める黒人層から中産階級が勃興によって順調
な経済発展を続けているのですが、一方で失業率は極めて高く、こちらは治安
の悪さとともに世界トップクラスです。

 90年代に櫻井がロンドン駐在であった時、オフィスの隣の席には南ア出身の
仲の良い同僚がいて、彼からはヨハネスブルグなどの治安の悪さの話はさんざ
ん聞いていました。どうやらその状態は今でも全く変わらず、治安の悪さは世
界一といってよい水準のようです。

 失業率は2003年には30%を超えるような局面もあり、今でも25%を超えてい
る状態であることが、治安の悪さと大いに関連があります。

 前回白人の貧困層の増加による「ホワイト・プア」問題に触れました。ただ
そういう傾向はあるものの、失業者の絶対水準が圧倒的に高いのは今でも黒人
層で、黒人の30%近くが失業者です。

 南ア政府は、国内の失業率が異常に高いにもかかわらず、積極的な移民受け
入れ政策を取り、ジンバブエなど近隣の貧しい国を中心にアフリカ中から「ア
フリカン・ドリーム」を求めて移民が殺到しています。

 このような「安くて良質(まじめ)」な移民の労働力は、南ア経済を大いに活
性化させ、経済成長を促している一方で、移民に職を奪われたと考える地元の
人々の対立を生み、「黒人対黒人」問題が大きくなっているようです。

 南アには公用語が11もあり、人種のるつぼであることも、こういった混乱の
一因なのかもしれません。(ブブセラが12番目の公用語という説もあります)

 中産階級にまで這い上がれた人々の生活の質は大きく向上しているものの、
底辺にいる人々の生活は一段と苦しくなっていくという「格差拡大」の状況な
のです。

 もうひとつ、現在の南ア経済の特徴は、資源価格上昇傾向にもかかわらず、
金などの産出量が減り続けていることです。(プラチナ生産は増えています)

 これは、掘り易い場所にある金が掘りつくされ、次第に地中深く採掘が難し
い鉱区しか残っていないということが挙げられます。

 したがって鉱業に従事する人口も減り続け、伸びているのはサービス業など
の分野です。南ア経済を牽引しているのは鉱業ではなく、黒人中産階級の個人
消費なのです。

 さて、このような矛盾と複雑さを抱えた南アの経済が、ワールド・カップの
熱狂が過ぎ去ったあと、どのような軌跡をたどっていくのかかが注目されます。
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