グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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米GSE債の安全性

 米国の住宅金融機関ファニーメイやフレディマックのような米政府が支援す
る法人のことをGSE(Government Sponsored Enterprises)と呼びます。

 今回の金融危機は、米国の住宅ローンの問題から火の手が上がった事もあっ
て、リーマン・ショックの2か月前の2008年7月にはファニーやフレディなど
の経営不安が急速に高まりました。

 GSEの債券は、長いこと「暗黙の政府保証」があると考えられ米国債に匹敵す
る信用力があると信じられてきた上に、米国債より利回りが高かったため、外
国政府を含めてグローバルな投資家に人気の高い債券でした。複数の邦銀も兆
円単位の投資をしてきました。

 そんなGSEが深刻な危機に見舞われたわけですから、1年8カ月前にはそれら
の邦銀の経営者は肝を冷やしたわけです。

 しかし米国政府も、さすがにGSEの危機を放置するわけにいかず、リーマン・
ショックの1週間ほど前に、ポールソン前財務長官はファニーとフレディを政
府の管理下に置くと発表しました。

 この措置によって、GSEに対する不安は一旦峠を越えて、半年ほどするとGSE
の債券に投資家が戻ってきました。

 しかしながら、GSEの問題はこの措置によって根本的に解決したわけではあり
ませんでした。米政府は、2つのGSEを管理下に置いただけであって、それら
の債務に対して明確に保証をしたわけでありませんから。

 米国政府としては、明確に「保証」をすると、自らの債務が急速に膨らんで、
見た目の財政状況が大幅に悪化してしまうことになります。

 ポールソン前長官を引き継いだガイトナー長官は、「GSEは安全、大丈夫」と
世界中で無責任なことを言って回り、各国の投資家を安心させようとしてきま
した。保証をしているわけではないのに、「事実上の保証」という印象を与えよ
うとしてきたわけです。

 そして、これまでのところこのやり方で何とかワークしていましたが、最近
この問題が再び大きな問題に浮上する懸念が感じられるようになってきました。

 先週、いつまでもたっても改善の兆しが見えないGSEの経営状況に対して、
下院金融委員会の委員であるスコット・ガレット議員が1.6兆ドルにも及ぶフ
ァニーとフレディの負債が法的には米国政府の債務になってないにもかかわら
ず、暗に保証があるかのような振りをしている問題をガイトナー長官に問い詰
めました。

 ガレット議員の執拗な質問に長官は「GSEの債務は政府の債務ではない」と認
めさせられたものの、「我々はこれらの機関が、過去および将来に渡って
債務を履行するのに十分なリソースを持っていることを示さなければならな
い」といった曖昧な表現を繰り返すだけで逃げました。

 ガイトナー長官は相変わらずですね。

 さて、米国財政のさらなる悪化は確実な状況で、仮にそれが手に負えない事
態にまでなってしまった場合には真っ先に切り捨てられる可能性があるのは、
明確な保証のないGSEの債務でしょう。

 そう考えると現在のGSE債務に対する安心感は非常に危ういものであると言
えそうです。

 ガレット議員は、さらにガイトナー長官にGSEの債務問題に関する追及をす
る構えを見せており、この問題に対する世の中の意識もこれから高まっていく
ことになるかも知れません。

 まだ大量にGSEの債券を抱える投資家に、再び眠れない夜が訪れるのも、そ
れほど遠い将来ではないかもしれません。
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