グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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中国の最低賃金引き上げ

 米国型資本主義の欠陥が次々に明らかになる一方で、中国型の権威主義的経
済が何故かうまく機能しているように見える昨今ですが、先日の英エコノミス
ト誌に中国型の銀行経営について、興味深い記事がありました。

 中国の銀行や保険会社は、いまや株価時価総額で世界のトップを独占するよ
うな規模になっているにもかかわらず、それらの金融機関のいったい誰が政策
決定をしているのかほとんど分からないようです。

 そればかりか、それを詮索するだけでも安全保証に関する法律に抵触する可
能性もある、非常にデリケートな問題であるといいます。

 強大な銀行のトップといえども、欧米の経営者のような自由は持ち合わせて
おらず、その人事は国の命令ひとつでローテーションされるような状況なので
す。

 中国の金融機関では、たとえ形式上は民間企業であっても、その経営会議に
は規律を守らせる役割の担当者が当局から派遣され、共産党の立場を代弁して
いるそうです。
 
 このような統治形態であるので、いかなる大口の貸し出しについても、ひと
つの銀行や一人の経営者によって決められるわけではないといいます。
 
 その結果、最近の例では、中国では、中央の命令によって預金準備率が先月
から2回続けて引き上げられ、さらに銀行は融資の引き締めに動きだしました。

 このような金融政策の実行は、中国指導部のなかで現在は政治局委員を務め
る王岐山氏がキーマンであると見られています。しかし、実際には為替レート
や大型の財政政策の判断など重要な金融経済政策については胡錦濤国家主席を
含む9人の共産党中央政治局常務委員たちが最終的な意思決定をすると考えら
れています。

 エコノミスト誌は、このような複雑な統治体制であることによって、まだ先
のことではありますが、いずれ中国当局が銀行貸し出しのリスクについての対
応が出来なくなる可能性があるのではという懸念をしています。
 
 さて話は変わりますが、最近中国の広東省や江蘇省、それに上海市や北京市
などでは、一年ほどまえの労働者削減の動きとは打って変わり、景気回復によ
る労働者不足の深刻化によって最低賃金引き上げの動きが相次いでいるようで
す。

 物価の動きでモニターする限りは、まだまだインフレ懸念が顕在化する状況
ではないのですが、昨年の中国の当局主導による津波のような金融緩和があっ
たことを考えれば、物価上昇のリスクも、いつまでも安心している状況ではな
くなってきているかも知れません。

 「世界潮流」2月12日号では、以上のような状況を紹介して、今後中国指導
部がインフレのリスクを懸念して更なる融資絞込みに動くタイミングが、意外
に早い時期に来るかもしれないと指摘しています。

 いずれにしても、現在の中国の金融経済政策の意思決定・執行体制が長期的
な視点で優れたものであるのかどうか、もう少し時間をかけて判断する必要が
ありそうです。
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