グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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オバマ金融制度改革の波紋

 先週オバマ大統領が新たな金融規制法案という金融界にとって衝撃的な表明
を行ったことに関しては、予想通りさまざまな反応があるようです。

 もしオバマ氏のプランが実行されれば、大恐慌後の1933年に作られたグラス
=スティーガル法以来の大変革になるからです。

 英FT氏のワシントン在住コラムニストCrook氏は、直前に米国で最もリベラ
ルな州で行われた故エドワード・ケネディ氏の後任選びの選挙での民主党の敗
北という、少し前までは予想もできなかった危機的な事態に直面して、オバマ
大統領は突然けんか好きになり「かかってこい(bring it on)」という態度で
金融機関叩きというポピュリズムに走ったと論じています。

 これは、大統領がスピーチの中で、これまで金融規制改革をしようという試
みに対して「ウォール街はロビイスト達を使って常識的なルールの設定を妨害
してきた。もしこうした人々が戦いを挑むなら、喜んで応じよう」と話した部
分を皮肉った説明であると思われます。

 英ガーディアン紙は、大統領から挑戦を挑まれたウォール街のロビイストた
ちは、「臨戦態勢を高めている(gear up to fight)」と報じています。何でも
米国の銀行上位8行は昨年は、前年より6%多い合計2600万ドル(約23億円)
ものロビー活動費を使ったそうです。ロビイスト達は今後、オバマ大統領の銀
行の規模縮小案は経済危機の原因に対する誤解の産物であると主張していくそ
うです。

 ところで肝心の21日のオバマ大統領が明らかにした改革案の内容ですが、ど
うもあまり正確に報道されていない節もあるので、大統領の演説を簡単に抜粋
して箇条書してみます。大統領のスピーチの原稿はWSJ紙などがネットに掲載
しています。さほど長くなく、なかなか説得力のあるものなので興味がある方
は一読されることをお勧めします。

・ 今回の経済危機の原因は、金融機関が短期的な利益や巨額のボーナスを追求
して起こったことを忘れてはならない。

・ 金融機関の救済は非常に不快(deeply offensive)であったがやらねばなら
なかったことである。

・ 金融システムは一年前に比べたらはるかに強固になっているにもかかわら
ず、いまだに危うく崩壊しかけた時のルールのままだ。

・ だからこそ、我々は消費者を守るための改革をして、米国の納税者が「大き
過ぎて潰せない銀行」の人質に捕られないようにしなければならない。

・ バーニー委員長の努力で下院を通過し、現在ドッド議員の手で上院を通過し
ようとしている金融改革法案の中心が大金融機関の取るリスクを制限する
ことである。

・ こうした努力の一環として、私は本日新たに2つの法案の追加を提案したい。

・ まず一つは、銀行が「顧客にサービスする」という本来の責務から大きく離
れて、金融上の特権を得ながらリスクの高い取引をするのを許さないことで
ある。

・ 銀行が巨大なリスクを取って、もし勝てば株主の利益、しかし負ければ納税
者の負担になるというルールは受け入れることができない。

・ そのために、私はシンプルで常識的な提案をしたい。それはわれわれがボル
カー・ルールと呼んでいるものである。

・ 金融機関が利益を求めてトレードすることは自由で、責任をもってそうする
ことは確かにマーケットにとっても良いことだが、税金の支援を受けながら
ヘッジファンドやプライベート・エクイティー・ファンドの運営をすること
は許されないということだ。

・ もうひとつ、私は金融システムの更なる統合を阻止する提案を行いたい。米
国民はほんの数社の巨大金融機関によって構成される金融システムに寄り
かかるべきでないということだ。

・ 金融界のリーダーたちに言いたいことは、このような改革に反対しないでほ
しいということなのだが、実際にはウォール街はロビイスト達を使って常識
的なルールの設定を妨害してきた。

・ もしこうした人々が戦いを挑むなら、喜んで応じる。改革に強く反対する人
たちを見ると私の決意はますます固くなるからだ。

 いかがでしょうか。オバマ大統領の演説は、なかなか説得力があるように思
えます。あとは、これを単なる言葉の遊びに終わらせないで、魂を入れられる
かでしょうが、この点に関してはオバマ大統領の実績はこれまであまり芳しく
なかったようです。
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