グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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TPP問題を機に考える農業と環境

横浜で開かれたAPECでメインテーマの一つに挙げられたのがTPP(環太平洋
戦略的経済連携協定)でした。TPPに関してはいろいろな方面で議論が続いてい
ます。

 先月中旬に、前原外相が「日本のGDPのうち農業など一次産業は1.5%。1.5%
を守るために98.5%が犠牲になっているのでは」と発言して物議を醸しましたが、
これはTPP推進派を代表する考え方と言えるでしょう。
 
 一方で、TPP反対派の主張は、日本の農家の生活と、農業と言う産業を守れと
いうことに集約されるのでしょう。

 特に前原外相の発言に代表されることですが、一連の議論で大変残念なこと
は、多くの人々は農業を単に経済的尺度でしか考えていないように見えること
です。

 ほとんどのTPP推進派の人々は農業どころか、普段自分たちが何を口にして
いるのかということに深い関心をもったことがないように見えます。また「食
糧安保」を叫んでいるTPP反対派の人々の大部分も、農業を「収入」を得るた
めの手段としてだけ捉えているように見えます。
 
 戦後の日本の農業の主流は、農協を中心にして推し進められたもので、その
実態は「食糧安全」というスローガンには程遠いものだったようです。

 農産物は、本来非常に多様なミネラルが組み合わされてこそ本当に健康な作
物に育つのに、戦後の日本農業は「窒素、カリウム、リン」という、とりあえ
ず見た目が立派で、さらに農作物が早く育つような化学肥料を与える農業ばか
りを推し進めて来たのです。

 その結果、見た目は立派な作物でも、それに含まれるミネラルなど栄養価は
激減し、酸化しやすく日持も悪くなっています。

 このような、オートメーション化され手間暇かけずに大量生産することをめ
ざす「合理的な農業」の延長線上の一つに、米モンサント社などが中心となっ
て推進している、遺伝子組み換えの種子と、それに組み合わせる特殊な農薬と
いう、少々SFじみた世界があります。

 このような食物の安全性についても、さまざまな議論が引き続き起こってい
ることは御承知の通りで、それに関して今回は触れませが、モンサント社など
が推進するような農業を行ってきた結果、農薬による環境汚染だけでなく、地
球上に最近まで存在していたさまざまな農作物の原種が絶滅していることだけ
は、強調しておく必要があるでしょう。

 最近は「生物多様性」を守ろうという、活動も活発になってきていますが、
遺伝子組み換え種子は、地球上の生物の多様性に重大な脅威を与えているので
す。つまり、農業という産業での活動が、地球の環境問題に多大な影響を与え
るようになって来ているのです。

 さて、農業と貿易の問題に話を戻します。農産物を工業製品と同様にモノと
して捉えてしまう場合、その品質の善し悪しが簡単には判断がつきにくいとい
う問題点があります。

 国内の農家でさえ、経済性を重視して、化学肥料と農薬による農産物を長年
に渡って供給してきていても、さほど大きな問題にならなかったわけですから、
海外から流入してくる農作物など、情報が正確に消費者に提供されることなど
考えづらいものがあります。

 農産物に対する、規制当局のリスク管理は、金融商品に対するリスク管理よ
りさらに穴だらけであり、もとより、人間が自然に手を加えることによる長期
的な影響を知ることは、仮に善意で対応したとしても、人類の英知を超えてい
るものなのでしょう。

 TPPの議論が、これからどういう展開になるのか分かりませんが、個人的には、
それが日本の工業製品の輸出を少しばかり増やすことになる代償として、モン
サント社などの生産する大量生産された農産物ばかりがスーパーに並ぶことを
意味するのであれば、大反対です。

 農業問題は、「カネ」の問題としてではなく、日本国民の健康と生命の安全問
題でもあるし、地球上の生物すべての「環境」問題として捉える必要があると
思います。
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