グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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為替デリバティブによる中小企業倒産問題

 最近、デリバティブ取引の損失による中小企業の倒産という記事を頻繁に見かけるようになりました。

 実は複雑な仕組み債を巡る損失といった話は、以前から直接相談を受けたり、間接的に耳にしたりする機会が多かったのですが、最近見聞きするものは為替関係のものがほとんどです。

今年は5月のギリシャ危機以来、大幅に円高が進んだことで、一部の為替に関連するデリバティブ商品が大きな損失を引き起こしてしまったようです。

 これまで機関投資家や、大学や宗教法人などが仕組債で大損しても、それによって破綻してしまうことはあまりなかったので、一部は週間誌ネタにはなっても、大部分の問題は表面化しなかったのかも知れません。今回の為替デリバティブの損失は、多くの中小企業が倒産するような事態になってしまったので、一種の社会問題にまでなりつつあるようです。

 各種の情報を総合すると、円安になって輸入価格が上昇してしまうリスクのある輸入企業に対して、銀行が「円安リスクをヘッジしてあげます」などと言って、非常にリスクの高いデリバティブ商品を売り付けてしまったようです。

 取引のパターンはいろいろありますが、典型的なパターンの一つは「ゼロコスト・オプション」と呼ばれるもので、銀行が輸入業者の円安リスクのヘッジをするための「ドル・コール(買う権利)・オプション」を買わせるものです。
 
オプションを買うだけなら全く問題がないのですが、オプションの購入にはコストがかかり、輸入企業は簡単には応じてくれません。

 そこで銀行は、「コストがかからない」ようにするために、円高に進んだ場合に輸入企業が大きな損失を負う可能性がある「ドル・プット(売る権利)・オプション」を併せて売らせることによって、「ゼロコスト」の商品に仕立て上げるのです。

 為替の、オプション取引は適切な金額で行う限りは、輸入企業のリスク・ヘッジとして有効に機能します。しかし、このような取引で倒産が続出してしまったのは、銀行が適切なヘッジ量を大幅に超える「ドル・プット・オプション」を輸入企業に売らせてしまったからです。

 ゼロコスト・オプションの場合、企業が購入するオプション金額に対して、3倍前後の大量の反対サイドのオプションを売却させることが多いようです。そうすることによって、契約当初の為替レートでは一見有利な取引であることを錯覚させると同時に、銀行が大きな利益を確保できるからです。

 オプションの買いは、リスクが限定的な取引なのですが、オプションの売りは限度の無いリスクを負うことになります。

 問題なのは適切なヘッジ金額を遥かに超えたプット・オプションの売却をさせたことに対して、銀行の営業マンが販売時にきちんと説明をしたかどうかということでしょう。

 常識的に考えれば、大幅な円高が進んだ際に、本業の(輸入価格下落)で得られるメリットを遥かに超える損失を被る可能性のある取引を、中小企業の経営者が進んで行うとは考えられません。

 そうであるとすると、販売時の説明が不適切であったのかもしれませんし、悪質な場合は中小企業の命綱である銀行からの融資を人質に取るような形の強引な販売も少なくなかったと推察します。

 筆者は極めて長い期間デリバティブ関連の仕事をして来ました。デリバティブは適切な使い方をすれば、非常に有用なものなのです。しかし、もし誰かが自分の目先の利益を優先して不適切な販売をすれば大きな災いを生むことも十分考えられます。デリバティブは諸刃の剣なのです。

 銀行が本業で必要な額を遥かに超えるデリバティブを不適切(または不十分)な説明や、取引関係を悪用して強要に近いやり方で販売したのであれば、それは言語道断なことです。そのような不適切な販売を是正していくことは今後のデリバティブ業界全体の発展にも寄与するのではないかと考えます。

 そういう意味では、今回問題が表明化したのは良いことで、もし不当な販売をされた方がおられるなら、専門知識と「良心」を持つ適切な方に相談されることをお勧めいたします。


こちらの記事も御覧ください。
 デリバティブや仕組債による損失問題
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デリバティブや仕組み債券を巡る損失や倒産のトラブル

 最近、新聞や雑誌にデリバティブ取引や仕組み債券を巡るトラブルに関する記事を良く見かけます。週末の朝日新聞には銀行のデリバティブ商品販売によって、中小企業の倒産が増加しているという記事がありました。

 大変残念なことではありますが、こういった商品の販売を、問題のある手法、あるいは違法な方法で行ってきた金融機関は少なくないようです。

この件に関する追加記事


 筆者の先輩でもあり友人でもある方に、外資系の金融機関出身で弁護士になられた方がいます。かつては外資系金融機関でデリバティブ商品の販売にも従事していたのですが、現在は、一転して弁護士の立場でこういった金融商品販売のトラブルの解決に情熱を注いでいます。

 彼は鈴木英司弁護士といいます。このような問題あるデリバティブ商品の投資家は大きな損失をしても、泣き寝入りしてしまうことが多いそうですが、鈴木氏は「大手金融機関に損させられても諦める必要はない」と語ります。

 こういった経歴の弁護士は大変珍しいことなのですが、ご存知ない方も多いかと思いますので、彼のブログを紹介いたします。ご興味ある方は、どうぞ。

http://blog.livedoor.jp/pruaclaweishis/archives/1926080.html

http://tokyofield.jp/

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