グローバルな金融経済の動向を、ユニークな視点を交えてお伝えいたします。

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一人あたりGDPの比較(1980年から)

各国の一人当たりGDPの推移をご紹介します。(単位米ドル)
一人あたりGDP2

 一位は欧州の小国ルクセンブルグですが、どうしてこんなに高いのかといえば、もともと所得水準が高いの加えて、周辺の国から越境して働きに来ている人達が多いからです。(つまり、ルクセンブルグで所得を得ているにもかかわらず、ルクセンブルグの人口にはカウントされていない人たちが多い)

 日本のドル表示GDPと同様に、各国の一人当たりGDPも為替レートによって大きく変動します。たとえば2007年はユーロが非常に高かったために、ユーロ圏諸国の数字が押し上げられました。

 そういう意味では、もうすぐ発表される2010年の数字では、円高によって日本の順位が大きく上昇することが見込まれます。
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カリフォルニア州はイタリアと同じ経済規模

カリフォルニア州の経済規模はイタリアと同等
テキサス州はロシア、フロリダ州はオランダ、ミシガン州は台湾とそれぞれ同じ経済規模だそうです。
英エコノミスト誌に面白い比較がありました。
(米国は大きな国だと改めて実感・・)
米国の州の経済規模
  英エコノミスト誌より

国民生活の豊かさ測定

 各国の生活水準が、一人当たりのGDPや、購買力平価ベース(PPP)のGDPで
測定することが難しいという議論は、以前からありました。先日の英エコノミ
スト誌では、新たな測定方法を紹介しています。

 これはスタンフォード大学のチャールズ・ジョーンズ氏とピーター・クレノ
ー氏の2人が試みた方法で、社会の不平等さや、平均寿命、一生の間にどのぐ
らい消費やレジャーを楽しむことが出来るのか、といったような項目で生活の
快適度(Welfare)を測定しようというものです。

 購買力平価ベース(PPP)で一人当たりGDPを比較した場合は断トツの一位な
のはルクセンブルグで、そのあとにノルウェー、米国と続きます。日本やフラ
ンス、ドイツなど他の主要先進諸国は、米国の7割前後でそこからやや引き離
されています。

 ところが、このWelfareの比較では、欧米や日本という主要先進諸国間の差
はぐっと縮み、みなほぼ似たような生活水準となります。例えば、米国とフラ
ンスの比較では、GDPは米国の7割程度で、消費の水準は米国の方が遥かに大き
いのに、フランスの方が余暇が多く寿命も長い為に、Welfareはほぼ同じという
のです。

 また、GDPでは米国の1.6倍近くあったルクセンブルグは、この方法では1.2
倍以下に接近します。ちなみに日本のWelfareは米国を100とすると91.5です。

 この方法による生活水準の測定で興味深いのは、先進国間の格差は縮小する
のに、先進国と新興国の差は拡大する点です。BRICs諸国や、韓国、南アなどは、
PPPベースのGDPで判断する場合に比べて遥かに低い生活水準という結果になり
ます。

 これは、平均寿命の短さと、極度の不平等(貧富の格差)という、ほぼ共通
したマイナス要因によって、「お金」の大きさだけで判断した生活水準より大幅
に低く評価されるようです。また韓国は極度に長い労働時間が足を引っ張って
います。
 
 ただし、新興国の生活水準の成長率は、先進国より高く、現在の著しい格差
は縮小する方向にあります。

 このスタンフォード大の2人のレポート(サマリーだけでも、びっしり54ペ
ージもあります)は、単なる一つの試みではありますが、先般の金融危機が人
間生活の豊かさをお金で判断するという風潮に大きな転機をもたらしたことは
間違いないと思われます。

BISからの新たな衝撃

 先月の末にBIS(国際決済銀行)がサイトで公表したレポートはかなりショッ
キングなものでした。

 レポートの題名は“The future of public debt: prospects and implication”
です。

 それは、欧州諸国と米国と日本の将来の公的債務残高の対GDP比率を、各国
それぞれ3通りのシナリオで予想されているグラフです。

 それによれば、先進国の公的債務残高は今後すさまじい勢いで増加を続け、
今後10年で日本はGDPの300%、英国は200%を超え、米国やフランスなど多く
の国で150%を突破することが予想されます。

 ちなみに、日本の債務は計算上の二重計上で過大評価されている一方で、米
国の債務レベルは公式の数字よりずっと巨額であるという試算があります。

 さて、問題が深刻なのは、この財政悪化傾向が一時的なものでなく、20年、
30年年後までその勢いで増え続け、仮に巨額の債券発行によって債券調達コス
トが跳ね上がればさらに赤字は醜い姿になってしまうことです。

 このような赤字の最大の要因は、高齢化に伴う財政支出の増加であり、一部
の国では、もし歳出削減や社会福祉費の増加を抑制することが出来れば財政悪
化を少し穏やかなものに出来る可能性ですが、日本や米国、英国、フランス、
スペインなどはそのような対応では全く不十分であるとしています。

 ご興味がある方は実際にBISのHPでレポートを探してご覧ください。時間の
ない方は能書きの部分は読まずに、レポート後半のグラフが沢山あるページだ
け見るだけでも問題の深刻さはすぐに理解できます。
 
 このグラフをみて分かることは、高齢化の進行とそれ自体が一因である経済
成長の低迷という構図に関して、日本はある意味で世界に10年か20年ほど先
駆けていたということです。

 これまでの国の財政や経済運営、あるいは世の中の仕組みは、人口ピラミッ
ドの形状に大きな変化がなく、それなりに成長を続けることを前提としていま
す。

 政治家や経済学者がいくら「成長戦略」や「成長路線」について口角泡を飛
ばしながら叫んだり、日銀を叩いたりしてみせても、若者の比率が多かった時
代のような活力が容易には戻らないことを、われわれは十分経験してきました

 この構造が、これから先進国全般に広がって行くと考えると、少しぞっとす
るところがあります。

 われわれは「経済成長」という幻想を捨てて、現実を見直すべき時が来てい
るのかも知れません。

 このBISの予想はあくまで予想であり、人間の将来予想能力はかなり怪しい
のですが、一方で豊かな生活環境にどっぷり漬かってしまった人間の危機感知
能力はもっと大きな問題がありそうです。

 そういう意味で、今回のBISのレポートは、醜い現実を直視した重大な警告
であると言えるのではないでしょうか。
 
 この話題は「世界潮流」4月12日号で取り上げられています。
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